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chapter 02 [mission]
サキュロンさんに案内されたのは、木枠の大きな窓がふたつある、とても広いお部屋。きっと十帖はあるんじゃないかな。
僕のお部屋に当てられたのは立派なところ。お姫様が使うような天蓋付きのベッドはとても豪華だ。見ただけでもふわふわだって判る。それにベッドの隣にあるナイトテーブルにはいつでも飲めるようにお水が入ったガラスの容器とコップが置いてある。
(これって……これって……)
僕はきっと屋敷中に漂う甘い香りでおかしくなっちゃったんだ。ここが僕のお部屋だなんて絶対に聞き間違いだ。こんなに素晴らしい場所が僕のお部屋なわけがない。
だって僕はここに住み込みで働くよう言われて来たのだから――。
そう、そうだよ。きっとここのお部屋はご主人様の奥方様がお休みになる寝室だ。掃除しなさいっていう意味なんだ。
でも困ったな。掃除道具が見当たらない。
これじゃあ掃除ができないよ。
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