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chapter 03 [en-rage]

 生地はしっとりした手触りで心地好い。だけど僕はこのお屋敷では使用人。当然、こんな高価なものを着られるわけがない。けれども主人の命令ならば仕方がない。だって見窄らしい格好じゃかえって機嫌を損ねてしまうかもしれないもん。 (……ご主人様が怖い人だったらどうしよう)  ――ううん。幽霊屋敷って言われているくらいだもん。きっとものすごく怖いに決まっている。  どうあっても与えられた仕事を真っ当しなきゃ。だって僕がヘマをすれば、きっと村にいる父様や皆が呪われるかもしれないんだ。  でも、僕ってばここへ来てたった一日で寝坊というヘマをやらかした。どうしよう。やっぱりお仕置きとかされるのかな。僕だけならいい。僕がやらかした失態だから。でも父様や村の人達に迷惑がかかるのだけはなんとかしなきゃ。 (どうか怒りの矛先が僕以外の人達にいきませんように)  着替えを終えた僕は、そう心の中で祈りながら、サキュロンさんに案内されるがままご主人様がいる晩餐室へと向かった。

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