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chapter 04 [dinner]
「こちらでございます」
サキュロンさんは茶褐色の両手扉の前に立ち、ドアノブを回した。暗に進むよう命じられた。
(このお部屋にご主人様がいる)
恐る恐る進み出れば、お部屋の中に入った瞬間、背筋がピリッてした。緊張感のある空気がそこらじゅうに広がっていたんだ。
お部屋の中は僕が想像していたよりもずっと広かった。足下には豪華な絨毯が敷かれていて、一度に何人もの人々が席に着ける長いダイニングテーブル。中央には綺麗な花々が花瓶に生けられている。真っ白なお皿は2人分、ナイフとフォーク、スプーンも用意されていた。そして席のずっと奥――そこには男の人が座っていた。
使用人として働くことになった初日に夜までぐっすり寝ていた僕はきっと恐ろしい罰を受けるに違いない。そう思ったからこそ堂々と顔を上げてご主人様を見ることができない。でもご主人様が厳格な人だということはこの場の空気でわかる。服装は黒のジレにキュロット。皺ひとつない白のチュニックを着ている。彼こそがここのお屋敷の主人であることは間違いない。
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