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涼太の告白

「嫌だな、そんなに大きくないから」 上下ラフな、スウェット姿で涼太が姿を現した。手には、蓮の着替え一式。 ほとほと困った表情を見せていた。 「ごめんな」 「まさか直に握られて、引っ張られるとは思わなったから、少し驚いたけど」 涼太の言葉に頭を抱えた。 「すまない」 「でも、蓮くんにいっぱい大きいって誉めれたから。小さいのがコンプレックスだったから、すごく嬉しかった」 「涼太・・・」 彼なりに精一杯の笑顔を見せてくれた。 息子が迷惑を掛けたのに、彼は、怒るどころか、こうして、明るく振る舞ってくれる。 ーー涼太、ありがとうな・・・。 「蓮くん、着替えしようか?」 彼が息子に話し掛けると素直にいう事をきいた。 テレビを見たり、絵をかいたり、折り紙をしたりして過ごすうち、遊び疲れからか、蓮は涼太の膝の上でそのまま眠ってしまった。 「蓮くんって、ほんと可愛い」 息子の頭を優しく撫でてくれる涼太。 でも、何故か、表情は固いまま。思い詰めたような眼差しをしていた。 そんな彼に、どう声を掛けようか、迷っていると、彼の方から話し掛けてきた。 「公園の帰り道、真生がパパで、僕がママって、蓮くんが言った時、冗談って言ったけど・・・・僕は、その・・・男だから、ママにはなれないけど、ママの代わりにはなれるかなって・・・僕、ゲイなんだ。その、つまり・・・」 唇を噛み締めた彼の小さな肩は震えていた。 前の職場で、ゲイである事をひた隠しにしていた後輩がいた。 彼が、俺にカミングアウトしてくれた時の姿に、涼太の姿が重なった。 彼も、後輩と同じく血を吐く思いで、カミングアウトしてくれたんだろうな。 当の本人は、俺が驚かない事に、逆に驚いていた。 だから、後輩の話しをしてやった。 「そうなんだ」 良かった、理解してくれて・・・。 「その・・・」 言いにくそうに彼が切り出した。 「何!?」 「・・・宮尾さんと・・・付き合っているの?」 「はぁ!?なんで、葵の名前が出てくるんだ」 「彼、真生の事、好きだよ」 「あぁ俺も、葵の事は好きだ。幼馴染みだし」 涼太が、はぁ~と、大きな溜息を吐いた。 何でだ!?

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