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涼太の告白
そう思ったら、いてもたってもいられず、身体が勝手に動いていた。
「涼太待て!!」
彼を追い掛け隣の部屋へ。
「涼・・・太・・・」
彼は、蓮を布団に寝かせ、その隣で、声を押し殺し泣いていた。思わず彼に駆け寄り、その小さな肩を抱き締めた。
華奢だと思い込んでいた彼の体は、意外にも筋肉質で、胸板も厚くて驚いた。
「用務員って、案外、力仕事なんだよ」
ごしごしと涙を手で拭いながら、涼太が口を開いた。
「そうなんだ」
「真生の方こそ、線、細いね」
脇腹をそろりと撫でられ、なぜか、腰がビクビクと震えた。
それを見逃さなかった涼太が、俺の腕を振りほどき、首にいきなり抱き付いてきた。
「りょ、涼太!!」
予想だにしていなかった事に、驚いてバランスを崩し、そのまま、涼太と共に畳の上へ倒れ込んだ。
「真生の事が好きだよ」
必死でしがみつくその手は震えていた。
「お前からしたら、こんなおっさんのどこがいいんだ!?こぶつきだし、色気もないし」
「こぶつき大歓迎。首筋のこのラインが好き。僕からしたら、充分色っぽい」
言いながら、その箇所をペロリと舐められ、背筋がゾクゾクした。
「ほら、身体は正直でしょう」
涼太にすっかり見透かされ、返す言葉もない。
ーー俺の負けだ・・・。
「逃げないから、もう少し、力を緩めてくれるか?」
涼太は、小さく頷き、腕を解いてくれた。遠慮しがちに、俺の胸元へ体を擦り寄せてきた。
ドクンドクンと、互いの心音が喧しい。
「ちゃんと付き合おう。その・・・なんだ、遊びとか、愛人とか、セフレとか・・・俺、全然分んないんだけど、そういうのじゃなくて、ちゃんと恋人として付き合おう」
「宮尾さんは?」
「俺から言うよ。涼太と交際しているからって。それでいいか?」
コクリと涼太が頷いてくれた。
その仕草が、いじらしく、そして、愛おしかった。
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