26 / 58

涼太の告白

そう思ったら、いてもたってもいられず、身体が勝手に動いていた。 「涼太待て!!」 彼を追い掛け隣の部屋へ。 「涼・・・太・・・」 彼は、蓮を布団に寝かせ、その隣で、声を押し殺し泣いていた。思わず彼に駆け寄り、その小さな肩を抱き締めた。 華奢だと思い込んでいた彼の体は、意外にも筋肉質で、胸板も厚くて驚いた。 「用務員って、案外、力仕事なんだよ」 ごしごしと涙を手で拭いながら、涼太が口を開いた。 「そうなんだ」 「真生の方こそ、線、細いね」 脇腹をそろりと撫でられ、なぜか、腰がビクビクと震えた。 それを見逃さなかった涼太が、俺の腕を振りほどき、首にいきなり抱き付いてきた。 「りょ、涼太!!」 予想だにしていなかった事に、驚いてバランスを崩し、そのまま、涼太と共に畳の上へ倒れ込んだ。 「真生の事が好きだよ」 必死でしがみつくその手は震えていた。 「お前からしたら、こんなおっさんのどこがいいんだ!?こぶつきだし、色気もないし」 「こぶつき大歓迎。首筋のこのラインが好き。僕からしたら、充分色っぽい」 言いながら、その箇所をペロリと舐められ、背筋がゾクゾクした。 「ほら、身体は正直でしょう」 涼太にすっかり見透かされ、返す言葉もない。 ーー俺の負けだ・・・。 「逃げないから、もう少し、力を緩めてくれるか?」 涼太は、小さく頷き、腕を解いてくれた。遠慮しがちに、俺の胸元へ体を擦り寄せてきた。 ドクンドクンと、互いの心音が喧しい。 「ちゃんと付き合おう。その・・・なんだ、遊びとか、愛人とか、セフレとか・・・俺、全然分んないんだけど、そういうのじゃなくて、ちゃんと恋人として付き合おう」 「宮尾さんは?」 「俺から言うよ。涼太と交際しているからって。それでいいか?」 コクリと涼太が頷いてくれた。 その仕草が、いじらしく、そして、愛おしかった。

ともだちにシェアしよう!