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後悔と後ろめたさ

葵に蓮を頼み、だるい体を引き摺りながら出勤した。 配達はまさに眠気との闘い。 涼太に会わせる顔がない。 どうしたらいいか――頭の中はいっぱいいっぱいで。 足取り重く、彼がいる大澤小学校へ。 「大丈夫ですか?顔色悪いですけど」 「いや、そんな事ないですよ」 調理員さんに声を掛けられ、精一杯の笑顔で答えた。 米飯を納入し、運転手席に戻ると、むすっとした表情の涼太が立っていた。 「大丈夫?顔、真っ青だよ。具合悪そうだけど」 「単なる寝不足。蓮に何回も起こされたから」 「それならいいけど・・・」 「電話するな。じゃあ、また、あとで」 恋人をまともに見る事が出来ない自分が情けない。 車に乗り込もうとした時、一瞬、立ち眩みを覚えた。 そのあと、体が大きく左右に揺れてーー。 「真生!」 驚いて声を上げた涼太に、そのまま、寄り掛かる様に倒れていった。 体が、焼けるように熱い・・・。 ーーあれ、ここは? 子供達の賑やかに騒ぐ声で目が覚めた。 「保健室だよ、真生」 「ごめんな、迷惑を掛けて」 「ううん」 彼は、ずっと側に付き添ってくれていたみたいだ。 目が心なしか腫れている。 「迎さんの彼氏さん、具合どう!?」 がらっと、カーテンが開いて、保健室の先生が顔を出してきた。 白衣姿と、にこやかな笑顔が良く似合う、俺と同い年くらいの女性だ。

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