48 / 58

後悔と後ろめたさと

「パパ、大丈夫!?」 後ろに乗り込むと、運転手席と助手席の間からひょっこりと顔を出してきた。 「うん、大丈夫だよ」 「よかったぁ。りょうにいに、あのね、きのう、えんちぉせんせいが、れんのうちにおとまりしたんだよ」 「そうなんだ」 あれ!? 涼太のヤツ驚かない?なんでだ? 「蓮くん、ちゃんとお座りして、シートベルトをして。パパ、具合が悪いから、お医者さんにいかないと」 「はぁ~~い!」 車が走り出すなり、涼太の手が俺のに重ねられ、そのままぎゅっと握り締められた。 心なしかその手は微かに震えていた。 「これでも僕、すごく腹が立っているんだよ。真生じゃなくて、宮尾さんに」 「・・・・ごめんな、涼太」 蓮を迎えに行った時、葵がいたんだろう。 あいつの事だ。彼に堂々と交際宣言をしたのだろう。きっとそうだ。 「でも、真生は、こうして僕を頼ってくれる。蓮くんの事も、宮尾さんに頼めば手っ取り早いのに、僕に頼んでくれた。だから、今回の事は目を瞑るから、その代わり、今週はずっと、僕の側にいてくれる?」 「・・・あぁ、分かったよ」 「宮尾さんとは、なるべく会わないでよ」 ハンドルを握る涼太の横顔は、見た目にもわかる程、頬を紅潮させていた。謝る事しかできない、どうしようもない俺に、焼きもちを妬いてくれているのだろうか。 もし、そうだとしたらこんなにうれしい事は何かもしれない。 病院に俺を置いて、涼太は蓮を連れて、そのまま買い物へ出かけて行った。 昨日の夜から何も食べていない上、体を酷使したことによる過度の過労から、39度の高熱を出したらしい。 座薬を入れますか?と聞かれ、頑なに拒否した。医者とはいえ、これ以上、見せたくなかった。俺の尻は涼太だけのモノだから。 結局、栄養剤の点滴を受ける事になった。

ともだちにシェアしよう!