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第3話 見つめ合う2人。

死神は人間に姿を見せる事も消す事も出来る。 姿を消した場合、死んだ人間のみ死神を見る事が出来る。 彼等も神によって作られた創造物である為、人間と酷似した姿形をしている。 いつもなら姿を消すんだが。。 3日間も地上に居るなら人間の振りをした方が良さそうだな。。 零は姿を現し、病室のドアをノックした。 「はい。どうぞ」 ドアの向こうから耳心地の良い声が聞こえ、零は室内に入って行った。 壱の部屋は個室で彼の他には誰も居なかった。 零は壱に挨拶をしようと足を一歩前に踏み出したが、彼の姿を見てその場から動けなくなった。 色白で華奢な身体つき。 唇は薄くほんのりと朱みがさし、まつ毛が長く大きな瞳の目尻には泣きボクロがあった。 零は彼の美しさに見惚れてしまった。 壱は室内に入って来た男性を見た。 背が高く細身だが男らしい身体つき。 彫りが深く端整な顔立ちで藍色の瞳をしていた。 壱は彼の瞳に吸い込まれる様な感覚を覚えた。 この部屋だけ時が止まっているかの様に、身じろぎ一つせず2人は互いに見つめ合った。 「コンコンッ」 ノックの音がし、看護師が病室に入ってきた。 「検温の時間ですよ。」 彼女の声で2人は我に返った。 「あ。はい。お願いします。」 壱が慌てて返事をした。 看護師は室内に居た零に気付き、壱に尋ねた。 「壱君。此方の素敵な男性はどなた?」 壱は返答に困った。 何しろ彼が誰だか壱も知らないのだから。 すると彼が壱の代わりに口を開いた。 『初めまして零と申します。彼の友人です。壱がいつもお世話になってます。』 零に笑顔で挨拶をされ、看護師は頬を赤らめた。 「壱君のお友達なんですね。此方こそ宜しくお願いします。」 『あの。一つお願いしたい事が有るのですが。』 「はい!何でも仰って下さい!」 『仕事の都合で此方に居られるのが3日間だけなので、その間彼の傍に居たいのですが。』 看護師は彼の予想外の申し出に困惑した。 「えっと。。それは此処で3日目寝泊まりするという事ですか?それは流石にちょっと。。」 零は看護師の手を取り彼女の瞳を見つめて暗示をかけた。 『3日間だけなのでお願いします。検温も私がやっておきますので。』 「はい。分かりました。」 彼女は放心した顔付きのまま零に返事をすると、踵を返し病室から出て行った。 零は看護師から渡された体温計を手にし、ベッドの傍に在る椅子に腰掛けて彼に挨拶をした。 『初めまして、俺の名前は零。今日から3日間、君と過ごす事になった。宜しくな。』 彼に優しい笑顔を向けられ、壱は胸の高鳴りを感じていた。。

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