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第6話 優しい頬笑み。

「あれ?え〜っと。もしかして先輩まだ言って無かった?」 『ああ。これから言うつもりだった。』 零は眉間にシワを寄せ六を睨んだ。 「す、すみませんでした。」 六は慌てて頭を下げた。 あれ? いつの間にか形成逆転されてる? 元々は先輩がおいたしてたんだよな? 『何だ?言いたい事でも有るのか?』 「あっ。いえ何でも有りません。」 そう言って頭を上げると、零に背後から抱き締められたままの壱に目線を移した。 六は先程まで零と会話をしていた為、初めて壱の顔を見た。 「えっ?君。。本当に人間なの?」 「はい。。普通の人間ですけど。」 壱が首を傾げながら六に答えた。 六も壱の姿を見た瞬間、天使の様な美しさに思わず見惚れてしまった。 この子は本当に人間なのか? もし天使なら俺が気が付かない筈はないし。。 『六?』 「へっ?あっ。はい。」 『お前何で戻って来たんだ?』 「あ〜。さっき事故現場に行ったんですけど、其処に三十三さんが来て、先輩に事前に伝えなかった罰として、サポートをしろって言われました。」 『じゃあ、お前も3日間此処で過ごすのか?』 「いえ。俺は昼間だけ此処に居て、夜は天界に戻ります。てか、先輩。三十三さんって見た目凄くカッコ良いのに、分厚い眼鏡してるから、どんな目してるか分からないですよね。あれ外したら本当は残念な顔してるのかもなぁ。きっとそれを隠す為だな。」 1人で自問自答して頷いている六の姿を見て、壱は声を出して笑った。 そんな彼の姿を見て零と六にも自然と笑みが零れた。 零は壱を自分と向かい合わせに座らせ話し始めた。 『壱。六が言った事は本当だ。お前は3日後に亡くなる。俺達は天界の入り口まで案内をする死神だ。只し、お前は前世で徳を積んでいるから神様より特別待遇を受けられる。』 「特別待遇って?」 『3つ願い事を叶えて貰える。死にたくないとか寿命を延ばしてくれとかは無理だが、大抵の事は聞き入れて貰えるぞ。』 「そっか。分かった。」 『なあ。さっきから不思議に思ってるんだが、自分が死ぬって分かったら大抵の人間は泣き喚いたり怒ったりするんだが、何故そんなに冷静なんだ?』 「俺もそれ思った!壱って変わってるよね。死ぬのが怖くないの?」 「怖く無いって言ったら嘘になるけど、生まれた時からずっと入退院を繰り返してたから、いつかそんな日が来るだろなぁって思ってたし、それに、俺が死ぬ時は2人が傍に居てくれるんでしょ?だから寂しくないかなって。」 自分の運命を受け入れ、優しく微笑む壱の姿を見て、2人の胸は痛んだ。

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