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第12話 また逢う日まで。。

庭先に入ると縁側に壱の母親を見つけ 壱は母に駆け寄り彼女の手をそっと握った。 「母さん。独りにしてごめんね。」 壱は溢れる涙を抑える事なく母を抱き締めた。 「どぉーんパチパチパチパチッ」 大きな音が鳴り響き、3人は空を見上げると、夜空に打ち上がった花火が真っ黒な空を鮮やかに彩っていた。 暫くして母がぽつりと呟いた。 「あの子も空の上から花火を観てるのかしら。」 「母さん。。」 「でも、変ね。あの子が此処に居る様な気がするわ。」 彼女はそう言って再び空を仰ぎ見た。 『姿が見えなくても、お母さんはお前を感じているんだな。』 「うん。うん。そうだね。」 花火大会が終わり、天界に戻る時が近づいていた。 零は壱の手を優しく握り彼に言った。 『来年もまた来よう。お母さんに挨拶をしておいで』 壱は頷き、母親をもう一度抱き締めた。 「母さんまた来るね。それまで、また逢う日まで。。元気でいてね。」 壱は母に暫しの別れを告げると、零と共に空へと戻って行った。 縁側に独り残された母は、束の間だが息子が自分の傍に居た様な気がして、幸せそうな笑みを浮かべた。

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