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6月9日~大人と子供①~

『うわぁぁああぁあああああ!!』 (ンだよ……騒がしーな) 『ななな、何で…知らない子が……俺のベッドに……?』 (あ~、あいつ起きたのか)  紫苑は森岡の叫び声によって眠りから覚醒させられた。  とても目覚めが良いとは言えない朝だ。 「うるせーなぁ」  あくび混じりに言うと、血相を変えた森岡に掛け布団を引き剥がされた。 「うるせーじゃなくて! 君は一体誰なん――――いったたた、大声出したら頭痛が……」 「二日酔いか? ダッセーの」 「うるさい。それより、いつの間に俺の家に上がり込んだんだ?」 「やっぱ覚えてねーか。あんたが俺を連れてきてくれたんだぜ」 「俺が?」 「そ。俺が泊まるとこないって言ったら、タクシーでここまで連れてきてくれたし。身体でお礼しようと思ってフェラまでしてやったのに、覚えてないなんて残念だなぁ」  森岡の手を取って口元に運び、わざとらしく指に口淫する振りをすると彼は慌てて手を引っ込めた。 「ほ、本当か……?」 「ほんとほんと。ちゃぁんと思い出してみなって」  すると彼は頭を掻きながら眉間に皺を寄せた。頑張って記憶を掘り起こそうとしているのか、頭痛と闘っているのか。恐らく両方だろう。 「おいおっさん」 「だっ、誰がおっさんだ! 俺はまだ二十九――っいってぇ」 「大声出すなって。俺からしたら三十なんておっさんだよ」 「十二歳しか離れてないだろ……」  どうやら紫苑の年齢は覚えていたらしい。 「ぁあ、だんだん思い出してきた。居酒屋で呑んだ帰り、君に捕まって……それから……」  彼の頭の中に何が浮かんだのだろう。ばつが悪そうに背を向けると、寝室を出て行ってしまった。 「どこ行くの?」 「水飲んでくる。ついでに顔も洗う」 「俺も喉渇いた! 一杯ちょーだい」 「まるで君の家みたいだな……」  呆れたように溜息をつく森岡のに続いて紫苑も寝室を出た。

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