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第22話
「なんだよ!そんな言い方しなくたっていいだろ!俺がいつ誘った!?周りが勝手に寄ってくるだけで、俺はそんなことしてない!絶対にしてない!!……下ろせ!!」
「だめだよ結空」
結空は拳を作って透の胸をどんっと叩く。
びくともしない透の程よく厚みのある胸はびくともしなかった。
「……っ」
もしかして、自分はΩのせいで女子のように非力になってしまったのか。
そんな不安まで胸に迫り上げてくる。
男なのに男に欲情されて、反対に自分もまた男を欲して。
元々そんなに男らしい外見でもなかったけれど、そのうち非力でか弱い女子供みたいになるのだろうか。そしていずれ、体だけじゃなく心までもが女になって子供を産み、母になる……?
「そんなのやだっ……」
愚図る子供をあやすように、透は結空の背中をぽんぽんと軽く叩きながらどこかへ結空を連れて行く。
怖くて、悔しくて、悲しくて……。
結空はどうしていいのかわからず透の肩口に顔を埋め、されるがままに体を預けた。
どれくらい歩いたのだろう。透が足を止め、結空はドアを開けるギィッという音を聞いた。
「結空、落ち着いて。ほらここなら誰も来ないから」
すとんと、透はすんなり結空をその場に下ろした。
結空が抱えて連れてこられたのは、用具置き場となっている体育倉庫だった。
確かに休み時間ですら誰かが訪れるとは思い難い程、色々な道具や機材が所狭しと置いてあり、本当にここで昼食を取るのかと思うほど埃っぽい。
「透、ここで食べるの?本当に?」
「だって結空からすごく匂い出てるし……。ちょうどマットもあるから腰下ろせるかなって思って。やだった?」
「ううん……」
「なんかちょっとカビ臭いね」
透が苦笑いで言う。
実際にはちょっとカビ臭いだけじゃなく、埃っぽいし、土の匂いやらで噎せ返りそうだったけど、結空は反論しなかった。
透は優しい。
「透……ごめん」
「こっちこそごめん。結空が男好きみたいな事言って」
「……ううん、多分本当のことだから、いいよ」
「結空のせいじゃないよ。これから過ごす学校生活のこと、俺も一緒に考えるよ」
透の優しさは、結空の体をより後ろめたいものに感じさせ、結空は黙って俯いた。
体の火照りは収まらず、曽根崎から距離を取って離れたというのに、まだ尻からとろりと蜜が零れる。
前も硬く立ち上がったままで、結空は思わず内股に力を籠める。
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