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第68話
「ふぁっ、アッ、あっ、あぅ……、いい、いぃよぉ……っ」
「結空、……結空、……好き、好き、……好き」
透の声が鼓膜から結空の脳内へ快感物質として流れ込む。
透の声、好きだ。優しくて穏やかなところも。発情して垣間見た微かな凶暴性も目にすると尻が濡れた。
俺は……透のことが好きなのかな?
家が近所で、幼馴染で、小さいころは一緒に遊んだりもしたけれど、透だけがどんどん格好良く大人っぽく成長し結空はそれを羨み妬んだりした。
段々お互いつるむ友達も変わりだし、それに比例するように一緒にいる時間も徐々に少なくなっていった。
結空が背伸びして何とか入れた高校に透は推薦で入学。
そつなく何でもこなすαの透。
それに比べ、全てが劣っている自分。
透が別次元の人間にすら思えたこともある。
けれど家が近いから時々顔を合わせることもあるし、会えば話も少しはする。
その程度の関係だった。
透の周りにはいつも人が絶えず、透はいつも人の輪の中心にいた。
それが羨ましくて、やっぱり心のどこかで嫉妬して。
なんであいつばっかり。狡い。
そんな理不尽な感情を持ちながら、透を好きだとか、恋愛感情を持った目で見たことなんて一度もない。
それなのに、今はこんなに透を欲して……。
これってどこかおかしくないだろうか……。
好き、って何?
「あっ、また……あっ、あっ、イくっ……、あぁんッ……!」
「イきっぱなしだね、結空。可愛い」
結空は杭を突き入れられる度に何度も射精して、出すものがなくなっても、オーガズムを感じて腰をぶるぶると震わせた。
四つん這いで透を受けとめていた結空の背後から、透の身体が覆い被さる。
背中に透の体温を感じ、透ももうすぐ射精するのだろうかと直感した。
ふいにうなじにぬるっとした触感があり、結空は肩を竦ませた。
「っ、とおる……?」
「はっ……、結空、たまんない……」
透が番となるために噛み痕を付ける場所に舌を這わせたのだ。
生暖かい滑りと共に、ぴちゃ、と唾液交じりに舐められた音がして、結空が咄嗟に口を開いた。
「だ、だめっ!……噛まないで」
ぴたりと透が動きを止めたのがわかった。
「……ごめん、あの……その……まだ、俺達学生だし……、それに、噛まれたら、俺どうなっちゃうの?……こ、怖い」
「そうだね……結空の言う通りだよ。危うく理性手放すところだった……。怖がらせてごめん」
透の手が結空の背中をゆっくり撫でる。
「透……こっちこそ、ごめん……、でも、透とセックスできて嬉しいんだ……」
「うん。……もっと気持よくなって、結空」
「ん……、んぁっ、あっ、っ…」
再び抽送が始まって緩く、激しく、緩急つけた腰の動きに揺さぶられ、結空は喘ぎ続けた。
脳裏には、強引で乱暴で、これっぽっちも好きじゃない曽根崎の顔がちらちらと浮かんでは消えた。
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