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第69話
「結空……、大好き……、んくっ」
「あああっっ……!!」
一層強く突き入れられ後ろで透が大きく身震いした。ほぼ同時に尻の奥で透の性器がびくんびくんと大きく波打ちながら射精しているのがわかる。
腹の中が熱いような、今まで感じたことのないおかしな感覚に侵される。
あぁ……、透、イったんだ……。
じんわりと温かい何かが全身に広がり沁みる。
胸の内は多幸感と喜びに満ち溢れていた。
なぜそんなことが嬉しく思うのか、自分は透が好きなのか。
送り込まれた精液を腹で飲み込んで、それがこんなにも幸せなのはどうしてなのか。
結空は心身ともに疲れ果て、思考は既に許容量を超えている。
αの優秀な精液を注ぎ込まれてΩの本能が喜んでいるなんてことは考えることも出来ない。
本能が引き連れてきたものが、恋なのかどうかも判断することが出来なかった。
けれど、結空の全身が幸せだと叫んでいるようだった。
「結空」
透の性器はずっと痙攣しているように動いている。
これは射精が終わるまで自然に抜けることはない。
「あ……」
透が結空をそっと背中から抱きしめ、身体を横向きにしてベッドへ倒した。
「ごめんね。しばらくこのままで」
「……ん」
「寒くない?」
「……う、ん」
「ヒートはどう?少し治まったよね」
「ぁ……、ん、……うん」
「少し楽になったのなら良かった。……さっきから結空、うんしか言ってない」
「ぅ……うん……っ」
「ほらまた」
「透が、しゃべり過ぎなんだよ……、んっ」
透の射精が終わるまで、中の刺激が消えることはなく、結空は甘い声を漏らしながら言葉を交わす。
これはまるで事後のピロートークだ。パンケーキの上を滑り落ちるどろりとしたシロップような、濃く甘い雰囲気に、結空の頬が、耳が、赤く染まった。
「結空、真っ赤。はーっ、もう勘弁して。可愛い。また勃っちゃいそう」
結空の背に透が額を押し付けた。ふわっとした透の髪が肌に当たる。
「も、もう、ちょっと黙って……とおる……んっ、あっ、……あ、また、イくっ……」
抱きしめられながら、ふるっと身体を震わせて、小さく喘ぎながら結空がまた達した。
透の熱が治まるまで、結空の性も静まらないのだろう。
「何回でも、気持よくなって、結空」
そんなことを淫らに繰り返し、いつの間にか結空も透も眠ってしまった。
先に目覚めた透が激しいセックスの跡を残した部屋を掃除して、後に目覚めた結空の身体を拭き、自宅まで送り届けてくれた。
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