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第73話
パジャマ姿の結空の首には鈍く光るシルバーのアクセサリーが装着されていた。
きっとわかる人にはわかる、お洒落なデザインなのだろう。
それなりの容姿をした人が身に着けるならば、さぞかし映えることだろうと思う。
曽根崎は名のある政治家の息子だと知っているから金持ちなのはわかってる。その曽根崎が買ったのだとしたら、このアクセサリーもおそらく高価なものだ。
「とにかく、こんな高そうな物貰えない」
貰う義理もないし、例えもらったとしても、今後これが脅しや強請のネタにならないとも限らない。
第一の目的は体なんだろうけど……。それにこんな贈り物、まるで彼女にでもあげるみたいに。
結空は女扱いされるのも嫌だった。
結空をなんとか口説いて繋ぎ止めたい曽根崎の心は大いに伝わってくる。
けれどそれとこれは別問題だと思った。
結空はチョーカーを外そうとうなじにある留め具へ手を伸ばした。
アジャスター部についている突起に爪を引っ掛けて外そうとした。
しかし、結空が不器用なだけなのか、一向に外れる気配がない。
「ん……あれ、外れない」
カチカチと爪を引っ掛ける音だけが微かにし、それを見た曽根崎がフッと笑った。
「何?何がおかしいんだよ。笑ってないで外せよこれ」
「無理。鍵がなきゃ外せねぇんだよそれ。鍵なら俺が持ってるし」
チャリ……と金属同士がぶつかる音に耳がぴくりと反応した。
目をやると、曽根崎の長い指に小さな鍵のついたリングが嵌められている。
「……鍵?なんで?……もしかして、俺のことを所有してるつもりか?」
結空が苛立たし気に言うと曽根崎が結空の前に立ち塞がる。
正面から抱きしめられるように腕を回されうなじへ手を置かれた。
「ここ、誰にも噛ませたくねぇ」
「なんだよ、な、に……ふぁ……っ」
腰から背中にかけてにぞくんっと電流のような刺激が駆け上り、結空は身震いをした。
「やっぱりいい反応するな。……ヤりてぇ」
「やっ、やだっ……」
透と別れてから抑制剤は飲んだ。翌日もちゃんと処方された通り、1日3回服用した。今日だって朝の分は間違いなく飲んだ筈なのに。
結空の体は曽根崎に反応して、疼きだす。
薬で押さえていた筈なのにΩのフェロモンがぶわっと放出されて、結空は狼狽した。
嘘……、なんで!?
「すげぇ匂ってんだけど、お前ちゃんと薬飲んでんのか?」
「ひっ、あ、や……、そんなとこ……撫でない……で……」
「しょうがねぇだろ。俺を見ると脹らむってことは、そうして欲しいって期待してるからだ。お前が」
「い、や……してないっ……」
「嘘。こっちもこっちも尖ってんじゃねぇか。淫乱」
曽根崎は片手で結空のうなじを頭を抱えるようにして押さえ、もう片方の手で、結空の勃起した股間の膨らみを下から上へするっと撫で上げ、そのまま上へスライドさせた手でパジャマを押し上げる胸の粒を親指を使ってくにくにと押し潰す。
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