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第82話
はじめは何の接点もなかった曽根崎と、幼馴染の透と、こうして3人が集まり顔を合わせているなんて、本当に不思議だ。
不思議なこの取り合わせはΩになった自分がもたらした結果なのだ。
俺は……そんな2人が……。
「じゃあなんだよ」
曽根崎が焦れたように言う。
───ちゃんと言わなくちゃ。
結空はどこまで理解してもらえるかわからない自分の思いを伝えようと、意を決して口を開いた。
「俺、Ωになってから透と曽根崎、2人に惹かれてる。正直曽根崎の性格は好きじゃないけど、ものすごくセックスはしたくなる。今だってじんわりお尻が濡れてるし……。透のことはずっとただの幼馴染だって思ってたけど、最近は優秀なαの男だって認識して、一緒にいるとドキドキする……。セックスは透とも曽根崎ともしたけど、どっちも死ぬほど気持ちよくて……」
「な」
「結空……」
結空の赤裸々な告白に透も曽根崎も驚いた様子を見せる。
「でもこれって、Ωになってからのことで。俺がΩじゃなかったら別に2人のことなんか眼中になかっただろうし、普通にβとして女の子に恋してたと思う。だから今の俺はΩのせいでおかしくなっているのかもしれない……。2人に惹かれているこの気持ちは偽物かもしれないんだ。それに俺なんて何の取り柄もない地味で淫乱なΩだ。見た目だって隣に並ぶには不釣り合いだって自覚もある。それでも……透と曽根崎を手放したくないと思ってる……。二人は、こんな俺でいいの?」
とうとう言ってしまった。
口に出したことを改めて考えると、自分の気持ちは偽物かもしれないが2人とも自分のものにしたいと、随分めちゃくちゃなことを言っていると自分でもよくわかる。
これで嫌われてしまうのならそれでいい。
二人を手放したくない今の現状が異常なのだから。
暫し気まずい沈黙が流れ、結空は自分を守るように右手で反対の腕を抱き寄せる。
呆れられるか、嫌われるか。
これで自分を諦めてくれるのなら、それが実は一番いいのかもしれないとも思う。
深刻な表情の結空を横目に曽根崎が肩を押さえて首を回す。
つまらない話を聞いて肩が凝ったとでも言いたげだ。
「はー……よくわかんねーんだけど、それのどこが問題なんだ?気持ちが偽物?そんなことあるわけねーだろ。お前がセックスしたいのも、俺にも月岡にも気がある淫乱な体質も、全部お前そのものなんだ。それがΩのせいかどうかなんて俺には関係ない」
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