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第100話

ルイと曽根崎があの後どこへ行き何をしていたのか、そして今もどうしているのか考えれば考えるほど居ても立ってもいられなくて、授業の終わりを告げるチャイムと共に教室を飛び出した。 (初めて曽根崎に連れ込まれたのは確か生徒会室だった) きっと曽根崎の言う空き部屋というのは生徒会室のことなのだろうとあたりをつけて移動する。 恐らく生徒会室の鍵はかかっているだろう。それにもしかしたら二人は身体を繋げている最中かもしれない。 それでも結空は曽根崎を取り返したい気持ちでいっぱいだった。 (俺のことを仮にも運命だって言ったんだ。運命だって……) だったらちゃんとその相手の気持ちだって考えてほしい。 曽根崎とルイがそんなことになっていたらと想像すると、むかむかと腹立たしくて我慢できない。 どうしてあの時やめて欲しいと言えなかったのだろう。口も体も動かせなかったのはなぜなのだろう。 いつの間にか不安は曽根崎と自分に対する苛立ちへと変わり、結空は悔し涙を滲ませる。 はぁはぁと息を切らして生徒会室へと辿り着くと、ちょうどドアが開き曽根崎が出てきたところだった。 「い……いた!」 「なんだよ。俺を追いかけてきたのか?」 「何だって別にいいだろ!それよりルイは?」 「ここにはいねーけど。とっくに家帰ったんじゃねぇ?」 「え……?どういうこと」 「中入れよ」 ここで話すことでもないと思ったのか、生徒会室へ入るよう促される。 室内に独特な情交の匂いは残っていなかった。 拍子抜けした。それと共にほっとして、体の力が抜ける。 「よかった……」 結空が呟く。それを見た曽根崎はふんと鼻を鳴らしてソファーへどかっと腰を下ろした。 「赤峰がそんなに心配だったのかよ」 「え?」 「やってねぇから安心しろ」 「違う。ルイのことを心配していた訳じゃない。だってルイが望んでしたことだろう?」 「じゃあ何がよかったんだよ」 「曽根崎が俺じゃない誰かとシてないってわかったから、よかったって……」 不機嫌そうに顔をしかめていた曽根崎だったが、少し表情が緩んだようだった。 結空の気持ちが曽根崎に向けられているとわかって表情を変えたのだとしたら、こんな不良の曽根崎でも可愛らしく思えてしまうから不思議だ。 「どういう意味」 曽根崎が結空を見詰める。 その視線は結空に縋っているようにも見える。 (どうしよう、可愛い) たまらず衝動的に、結空は手を伸ばし、座っている曽根崎の頭を胸に抱き締めた。 「っ、何なんだよ」 「曽根崎、ごめんね。俺さっきちゃんと言えばよかった。本当はルイと一緒に行かないで欲しかった。俺を運命だって言うなら、もう他の人を見ないで」 「矢萩……」

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