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第107話

透が味方になってくれると言っているのだ。悲観していた未来を覆したい自分を透が応援してくれている。嬉しくない筈がなかった。 しかし……。 「でもっ……、とぉ、るっ、……おれ、んっ、邪魔しちゃう……から」 「だめ」と言って結空は首を振った。 結空は自分のせいで透自身のことが疎かになってしまうのではないかと考えた。 そんなことになったら何より透に申し訳ないし、自分のΩをより一層呪ってしまうのではないか。 だったら初めから関わらない方がいいのだ。 そんな風にしか考えることができなかった。 「そんなことない。邪魔だなんて思ったこと一度もないよ。もちろんこれからも」 そう言いながら透の指が後孔の浅い所にある胡桃状のしこりを的確に刺激する。 「あぁんっ、んっ、あっ、あっ」 前も擦られ、一気に熱が集まって、結空は甘い声を上げながら吐精した。 はぁはぁと息を上げる結空の、汗で額に張り付いた前髪の上から透がキスを落とす。 「結空とだったらどこにでも行けるよ、俺」 熱烈なプロポーズでも受けているかのようだった。 発情期の自分にそんなことを言うなんて、どうかしている。 セックスしたくて、腹の奥深くに種付けしてもらいたくて堪らないこの時期に、そんなことを言われたら。 きゅうっと腹の奥にある器官が疼き透が欲しくなってしまう。 「俺、と、透……透の子供、欲しい」 勉強したいと優等生じみたことをいくら言ったって結局つまるところはそこなのだ。 Ωの本質。子を生して産み育てる。 透の甘い匂いと、甘い言葉に誘惑されて、きっといつか本当にそんな日がきてしまうのではないかと思ってしまう。 「結空……嬉しい、そう思ってくれて、嬉しい……!」 透が信じられないといった表情で結空をきつく抱き締める。 透の目が僅かに潤んでいるように見えた。レアな表情だと思った。 透の手で一度達したが、結空の性器は再び熱を帯び始め、尻からも蜜が溢れ出る。 目の前のαを体が欲しているのがわかった。 気持ちが満たされると子供が欲しいと本能的に感じてしまうことも。 「透……セックスしたい」 「うん。でもほら、結空勉強頑張るんでしょ?今はまだ赤ちゃん作る時期じゃないから、避妊しよう?」 「うん……。透、早く、して……して」 「もうほんと結空は小悪魔だなぁ」 二人は時間も忘れ、その日の昼までベッドの中で唇が赤くなるまでキスをして、結空は生理的な涙を零しながら透と繋がり続けた。

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