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第122話

「やめてっ……、痛いっ!」 「本当に痛いのか?可愛い声だ。そうやって痛がる声まで俺を誘うのか?」 「誘うわけないだろ……!抜けよ、抜けってば!!この変態っっ!!」 「口を慎めと言っただろう!」 言いながら片貝がまた手を振り上げた。 また引っ叩かれるとわかり結空は目をぎゅっと瞑る。頬を張られた音と痛みが駆け抜けた。 「ほら、矢萩君、泣いて謝りなさい。悪いことしてごめんなさい。川原でエッチなことしてごめんなさい。Ωのくせにαを誘ってごめんなさいって」 「泣くわけないだろ……」 結空は三度頬を張られ、腫れぼったい痛みに思考を鈍らせた。 それでも片貝の思い通りになんてさせたくない。 結空は黙って首を横に振る。 「案外強情な子だね君。あれ?もしかして気持ちいいのに痛いって嘘ついてたのかな?なんだ、それならそうと早く言ってくれれば、もっとちゃんと太いものをあげたのに」 「うあぁっ」 片貝は力任せに後孔からボールペンを引き抜いて床へ投げ捨てた。 乱暴に擦られ、摩擦で熱くひりつく穴を片貝がうっとりとした眼差しで見詰め、そこに手をかけ指で穴を広げたり閉じたりしながらはぁはぁと荒い呼吸を繰り返す。 「ぷっくり赤くなってる。可愛い穴だ」 背筋が凍るようだった。最早片貝に何を言っても無駄だと思った。 片貝はどこかおかしい。異常者だ。 逃げなければ犯される。 (ここから逃げなきゃ……!) 結空は掴まれてない方の脚を振り上げて、膝を曲げ、勢いつけて前方に大きく蹴り出した。 ゴツッと鈍い音がして、見ると結空の爪先が片貝の顎を下から突き上げたのがわかった。 「うぐっ」 片貝が後方にゆらりとよろめいた。 今しかない。この隙に、ここから出ようと結空は仰向けにされていた体を捻り逃げようと試みた。 しかし片貝の手が結空の足首を離さない。 それどころか強い力で引き戻される。片貝は舌打ちして結空の脇から手を差し込み、片手で掬うようにして結空を持ち上げた。そしてソファーへ座り、片貝の膝の上へ結空を俯せにすると力いっぱい結空の尻を叩き始めたのである。 「本当に悪い子だ」 「ひゃあっ!」 バシン、バシンと大きな音が部屋に響き渡り、結空は尻を叩かれる度その衝撃と痛みで身体をびくびくと跳ね上がらせた。 バシン、バシン……。音は止むことなく結空の目に涙が滲むまで続いた。 どれくらいそうされていたのだろうか。尻の感覚は熱さを伴いじんじんと痛む。 「うぅっ、も、やだ、やめてっ、……先生」 結空がぐずぐずと泣いたのがわかると、片貝の手がやっと止まった。 結空を抱え上げ、片貝は自分の膝の上に結空を座らせぎゅっと抱き締める。 片貝の股間が固く熱くなっている感触が跨っている結空の尻に伝わってきて気持悪い。 「痛かったか?ごめんな。でも先生も胸が痛かったんだ。可愛い矢萩が川原であんな不良と淫行していただなんて。君はここでこうして俺と出会う運命だったんだよ。ほら、ちゃんと矢萩の生徒手帳も無くさず持ってる」 「生徒手帳……?」 片貝が膝に結空を乗せたまま、スラックスの尻ポケットから生徒手帳を取り出し中を開く。 そこにはあどけない顔をした結空の顔写真が貼られていた。 無くしたと思っていた手帳は、片貝に盗られていたのだ。

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