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第124話
もうすぐ二人に会える。
そう思うだけで泣くつもりはないのに泣けてきて、結空は頬を涙で濡らす。
「どうした矢萩君?やっぱりお尻が痛む?それとも頬が痛い?」
「いえ、大丈夫……」
(あ……)
クンっと結空が鼻を鳴らした。
曽根崎の野性的な匂いと、透の温かいお日様のような匂いが結空の鼻腔に僅かに流れてくる。
おそらく結空が現在被っている危機的状況が、結空の本能を強く刺激して、二人の匂いを敏感に察知させているのだろう。
二人はこっちへ向かってきている。
(早く……、早く……)
「矢萩君。お詫びといっちゃなんだけど……、気持ちいいことする?」
「え……」
片貝がそう提案してきた瞬間、コツコツと生徒会室を外側からノックする音が聞こえた。
すると片貝は人差し指を口に当て、しっと言って結空に微笑む。
片貝は結空と二人の世界がここに出来上がっていると信じて疑わない様子だった。
しかし待ち合わせしているのに部屋の鍵は閉まったまま。曽根崎と透が不審に思うのは当たり前だ。
「おい!中で何してんだよ矢萩!てめぇ匂い漏れてんぞ」
「結空、誰と一緒なの!?何か怖いことされてるんじゃないの!?開けて!」
ドアの外から聞こえる声に片貝が「大丈夫、大丈夫、怖くないよ」と結空に言い聞かせるように囁くが、その実これがばれたらまずいと思っているのは片貝の方かもしれないと気がついた。
ここで片貝に逃げられたら叩かれ損だし、結空の持つなけなしのプライドも粉々に砕け散りそうだ。
なんとかしてこの扉を開けなくてはと結空が立ち上がる。
しかしすぐに手首を掴まれ結空は動きを止めた。
「待ちなさい」
「先生と愛し合ってるって伝えてきます」
「だめだ!それは困る……」
「先生……俺のこと好きじゃないんですか」
「あ、いや、君のことは大好きだ……」
こんなやりとりをしている間にも曽根崎はしびれを切らした様子でドアをガンガン蹴り鳴らし続けた。
「ふざけんなよ矢萩!!開けろ!!てめぇぶち犯すぞ!!」
「バカ曽根崎!開けられない事情があるのかもしれないだろ!」
このままでは騒ぎを聞き駆けつけた教師に二人は帰されてしまうかもしれない。
結空は片貝をコントロールしようとワイシャツのボタンに手をかけた。
「先生、見て。俺ね、ここ触られるの好きなんだ。こっちも。両方一緒にいじられるのが死ぬほど好き」
頭の中に透の優しい手と、曽根崎の不器用な手を思い浮かべて、結空は自分の身体を弄り始めた。
「んっ、んっ、ん……」
片貝に見せつけるように乳首を捏ねて尖ったところをきゅっと摘まむ。縮んでいた性器も、僅かに香る二人のフェロモンを感じてやわやわと揉んでいるだけで、ピンと固く勃ち始めた。
曽根崎と透に触れられたい。どこもかしかも二人の手で優しく撫でてもらいたい。
そして熱く猛った性器で尻の奥まで突かれたい……!
透と曽根崎に貫かれる自分を想像し、欲した瞬間に尻の奥からどろっと愛液が溢れ出した。
ポタポタと流れ落ちる汁は甘く、ハチミツと花を掛け合わせたかのような匂いだった。
その瞬間、結空の性フェロモンも大量に放出され、片貝が驚いたのか後方によろめき尻もちをついた。
「先生、ドア……開けてくれたら、最高に気持いいことしてあげる。だから、ドア開けて……お願い」
乳首を弾きながら性器を扱く結空を見て、片貝は真っ赤になりながら何度も首を縦に動かすと慌てて立ち上がり、ドアを開けにふらつきながら走って行った。
それを尻目に結空が毒づく。
「クソ変態教師。地獄に落ちろ」
直後バンッとドアを豪快に開ける音がして、曽根崎と透が中へ入ってきた。
「結空……!!どうしたの!!」
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