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第125話
真っ先に結空のもとへ向かってきた透が驚きの声を上げた。
それもその筈、結空はソファーの上で半裸になり、発情期でもないのに噎せ返りそうな甘いフェロモンを撒き散らし内股を濡らしている。
しかもよく見れば片方の頬が赤く腫れ、尻も赤く腫れていて、ここで結空が暴行を受けたことは一目瞭然だった。
「ひどい……頬が腫れてる。体は!?」
「お尻を叩かれた……。けど、セックスはしてないよ……ほんとだよ」
「え!?お尻!?信じられない……!ああ赤くなってるよ……!もうっ!もうっ!許せない!」
透はそう言い放ち着ていたワイシャツのボタンが弾け飛ぶのも構わずに前を開け、素早く脱いで結空の体を覆うように被せた。
結空達から見えない場所からは、怒りを露にした透より、更に怒りに燃える曽根崎の怒号が聞こえる。
「おいてめえっ!!矢萩になにしたっ!!」
ガンッと何かを壁に叩き付けるような鈍い音と共に壁を伝う震動で穏やかでない事が起きているのは明白だった。
「何も……俺と矢作くんは運命の巡り合わせをしたんだ。だからこうしてここで愛を確かめあおうと……へぶっ……っ!」
片貝の不自然にひしゃげた声。
曽根崎が片貝の顔を殴ったのだと容易に想像がつく。
片貝が結空をつけ狙い、私物を盗み、強姦まがいなことをしたことについては許せないし警察に届けてでも片貝を罰してやりたいと思う。
しかし自分のせいで曽根崎が暴力沙汰を起こすことは結空は望んでいなかった。
「だ、ダメだ!曽根崎!暴力はダメ……!透お願いだ、一緒に曽根崎を止めて!」
結空は透のシャツを羽織ったまま立ち上がりカクカクと笑う膝で曽根崎のもとへと向かおうとした。
それを見て立て膝をついていた透が急かさず立ち上がる。
「結空は来ないで。そんな体で巻き込まれたら大変だから」
「あ……うん……」
そんな体と言われ、結空は自分の体をチェックするようにして目をやった。
つんと尖った赤い乳首、さっきまで手淫していた性器もまだ上向きに汁を溢している。尻からはだらだらと体液が流れ出ていて、全ての原因が自分にあるような気がして下唇を噛んだ。
「曽根崎!暴力反対って結空が……!」
「あぁ?つうかこいつだせぇ。一発で伸びちまった」
曽根崎の足元には白目を向いて横たわる片貝の姿があった。
透はそれを見てぎょっとした表情を浮かべながら後退る。
「うわ……、本気で伸びてる。……曽根崎は暴力沙汰起こして退学になるかもとか、考えないの?結空は心配してるよ」
「るっせぇなぁ……チッ、わかったよ」
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