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第133話
透と曽根崎、2人の必死さと真剣さは痛いほどに伝わってくる。
結空には2人のその気持ちだけでもう十分だった。
(もう、俺は2人のもので、後はなるようにしかならない)
結空の両親の目に映るαの2人はまだ幼く若い。けれどこの先どんな困難が待ち受けていようとも、きっと結空と共に人生を歩んでくれるのではないか、そう思わせる強い魂を持っていると想像させられる。
結空の父と母は顔を見合わせた。
「あなたはどうなの?結空」
「俺は大丈夫。こんなに頼れる優秀な2人が番になってくれたんだから」
「結空……」
透がぐすっと鼻をすすって目元を拭った。
「おい月岡、てめぇ泣いてんじゃねぇ」
「嬉し泣きなんだから、別にいいでしょ……ズズっ」
床に正座しながら何やら言い争ってる二人を見て、突然あいりが「あああっ!!」と大きな声を上げた。
「何なのあいり、急に大きな声出して。ここは病室なんだし、まだ結空の具合がよくないんだから騒ぐんじゃないの!もう、女の子なんだからもうちょっと周りに気を使いなさい」
結空の母があいりを窘める。
「あー……さーせん。つうかさ、だってこのまま結婚とかしたらさ、イケメン兄貴が2人増えるってことでしょ!?うちの兄貴は地味だしなんかパッとしないから友達に紹介できなかったけど、透君とか曽根崎さんだったら友達にメッチャ自慢できるっていうかぁ~」
「こら!結空は今入院中の病人なんだから、落ち込むようなこと言わないで」
「確かに俺はイケメンじゃないけど別に落ち込んでないし……」
そう言いながら結空は唇を突き出した。
あいりの気持ちも少しはわかる。
確かに透や曽根崎が兄弟だったら自慢したいし見せびらかしたくもなるだろう。
「あいりちゃん、その前に3人で結婚はできないからね……」
心なしか肩を落として透が言った。
その通りだ。この先どうするか、どうやって3人で生きていくのか。
考えることは山のようにある。
しかし今の結空にはもう少し休息が必要だ。
結空の瞼が次第に重くなり、うつらうつらとしているうちに頭が揺れて舟をこぐ。
それを見て透と曽根崎が立ち上がり、結空の両側から体を支え横たわらせた。
「結空、怖かったでしょ。ごめんね。もうこんな思いは二度とさせない。誓うよ」
「その……悪かった。お前が月岡だけのものになるのかと思ったら我慢できなかった。結果的に苦しめちまったことは詫びる」
「うん……。もういいよ。俺、今こうして生きてるし、それにすっごい幸せなんだ」
「結空……。俺達もすごく嬉しいよ」
「もうしゃべんなくていい。少し寝ろ」
「うん……」
ほっと柔らかく緩んだ表情の透と曽根崎に見詰められ、結空は襲い来る眠気に再び意識を手放した。
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