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第4話
「何?」
「最近病院で血液検査とかした?」
「いや、してないけど……。なんで?」
「してないならいいんだ。その……体調悪そうだったから聞いてみただけ。あのさ……もし、どうしようもなく辛くなったら、俺に頼って」
「……うん?……まぁいいや。ありがと」
結空が返事をすると、透はにっこりと微笑んだ。
優しげに細められた透の目許が赤く染まっている。
とくんっ
にわかに胸が高鳴り、息が詰まる。
色濃く感じたのはαの存在感。
あれ?何で?
今日の自分は相当おかしい。
まさか、透はこの異変に気付いて自分を頼れだなんて言ったのだろうか。
おかしな自分が理解出来ず、悶々と考える。しかし、体の怠さに気をとられ、まともな答えが導き出せないでいた。
教室でも異変は続いた。
リア充しているであろうハイスペックな男子生徒2人組がこちらを見ているのがわかって、結空はぞっとした。
α……。何で?何で判る……?あの2人はαだ……。
どうして急にこんなにも外見と匂いで判別できてしまうのだろう。
汗が吹き出る。
顔も身体も熱い。
喉が渇く。
結空が無意識にシャツのボタンを外すとαと思われるクラスメイト2人に机を囲まれた。そのうちの一人が腰を折り、結空の耳へと口を寄せた。
「お前Ωだったの?抑制剤は?俺らに犯されたいの?」
小声で囁かれた言葉の内容に驚いて、結空は目を見開いた。
「……何が?……俺が?……え、何?何で?」
俺がΩ?
そんな訳あるか?
生まれてから今日まで、俺は間違いなくβだった。
それなのに突然そんな……。
βがΩに変化したりするのか?
狼狽える俺を見て二人は顔を見合わせた。
「もしかして転化型?」
「え……転化型って……」
そこまで言って思い出した。
今朝のニュースを見て、結空の母が言っていた言葉を。
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