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愛人契約
アズィーズはリュカを牢獄から連れ出し、いとも簡単に呪術者を見つけた。
「あちゃー。コイツ、Z級の呪術者だわ。随分、精密な呪いだけど、偶然できちゃっただけみたいだね」
アズィーズの姿を見て、震え上がった呪術者は、「依頼者のリクエストを全部詰め込んだら偶然、強力な呪いになってしまった。自分にも解き方が分からない」と、正直に白状した。
「俺は……寿命で死ぬまで、このままなのか……?」
「だね」
「……アズィーズ。コイツを殺せるか?」
アズィーズが楽しそうに眼を細めた。
「いいよ」
「苦しませてから」
「それは、得意だ」
それから数時間、呪術者の絶叫が響き続けた。
結局、リュカはアズィーズと契約した。
アズィーズが飽きるか、リュカの天寿がくれば、愛人契約は終わりだ。
呪いは解けていないので、リュカは定期的にサディスト男とセックスする必要があった。
そこで、美人局のように、サディスト男の精液を十分注がれたらアズィーズを呼び出した。
この夜もサディストの領主から必要な栄養を貰ったので、悪魔を呼んだのだ。
「まず治せよ」
「はいはい」
アズィーズは尻尾をヒュンと振ってリュカを拘束していた鎖を壊した。床に崩れ落ちたリュカの傷口を、いつものように治癒する。
領主は動くこともできず、唖然としたままその様子を見ていた。
「コイツは? どうする?」
「最悪の変態だったよ。犬とやらされたし」
「げっ! なにお前、犬とヤっちゃったの? マジか。ウケる!」
「うるさい!……ソイツにも同じことしろよな」
アズィーズが残酷な笑みを浮かべた。
「いいよ」
アズィーズが腕を出し、長い爪で己の腕に傷をつけた。小さく呪文を唱える。
ボタボタと溢れ落ちた悪魔の血だまりから、ゴポゴポと異形のモンスターが産まれた。
犬と呼ぶには体が大きく、無毛で黒くグロテスクだった。しかも、勃起している。
アズィーズは傷口をベロリと舐めて塞いだ。そして、一言。
「やっちまいな」
アズィーズの命令で、モンスターは領主を犯しにかかる。腰が抜けたようになっていた領主は簡単に怪物に捕まった。
リュカは領主が飲んでいたワインをグラスに注ぎ、領主の悲鳴を肴にワインを飲んだ。
この時間は、たまらなく楽しい。
散々、自分を弄んだサディスト男を愛人である悪魔に差し出すのだ。
アズィーズはリュカの望み通りにしてくれる。
「リュカ、ココでやる?」
アズィーズが少し興奮した様子で、リュカに聞いてきた。
「ヤって欲しかったら、脚を変えろよ」
「はいはい」
アズィーズは山羊脚を人間の脚に変化させた。
「尻尾も隠せ。萎えるわ」
「ちぇ」
アズィーズは尻尾を隠して、人間の姿に変身する。
「その気色悪い眼もやめろ」
アズィーズは数回瞬きをして、人間の瞳に変えた。
潤んだ緑の瞳と、薄っすら色付いた唇。スラリとした肢体。美女と見紛う程、美しい青年の姿になった。
リュカは傲慢な言い方をするが、アズィーズは命令されたり、少し強引にされるのが好きなのだ。
だが、やり過ぎるとアズィーズの逆鱗に触れ、八つ裂きにされてしまう。
ソフトすぎると、飽きられて捨てられる。今までの愛人たちは一年も持たなかったという。
リュカはアズィーズと上手くやっていた。程よく強引に、アズィーズを満足させ続けた。
「角はそのままでいい」
リュカの言葉にアズィーズが嬉しそうに笑う。その淫靡な唇にリュカはゾクリとした。
この悪魔は角が性感帯なのだ。
「来いよ」
アズィーズを呼び寄せて、ぐっと髪をわしずかみにして口付けた。ねっとりと舌を絡めて、唾液を飲ませる。
「ん……ふ、んあっ!」
唇を解き、リュカはアズィーズをベッドへ着き飛ばした。
「あ!」
艶やかな黒髪を掴み、伏せに抑えつける。
腰巻をめくり上げて、男にしては丸みを帯びた尻を向き出しにした。
アズィーズが抵抗するようにもがいたので、何度か掌で尻を叩いた。この度に悪魔は甘い悲鳴を上げる。
「ぁあッ!!」
「喜んでんじゃねえよ」
「……喜んでない」
だが、アズィーズの男根は硬く勃ちあがっていた。
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