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第7話

琳太朗が目を覚ますと、5時のチャイムが鳴る。 陽はまだ沈まず、空は明るさを残していた。 琳太朗がゆっくりと起き上がると、それに気付いた瀧川は庭からリビングに戻った。 「琳太朗さん、よく眠れましたか?」 「あれ、瀧川さん? 俺……寝てて、気付かなかったです」 うんうん、と瀧川は満足そうに頷く。 それから琳太朗から落ちたタオルケットを拾い上げ、綺麗に畳んだ。 「今日中にお料理の仕込みをさせていただこうと思いまして。明日それに構っていると、琳太朗さんとの時間が減ってしまいますから」 小さく笑いながら瀧川がそう言うと、琳太朗は照れたように唇を結んだ。 真郷のいない間、態度には見せないが琳太朗は心細さを感じてしまう。 夜も日付が変わる頃に帰り、疲れているのが分かるから真郷には甘えない。 寂しさは、お互いがゆっくり出来るときに思い切りぶつける。 そう決めてはいるものの、気持ちを紛らわせるために瀧川をそばに置きたいと思ってしまうのだ。 その琳太朗の気持ちを、瀧川はただ受け止めてくれる。 「ごめんない、甘えてばかりで」 「いいんですよ。大人には甘えてください」 「俺だってもう、子供じゃないですよ?」 「琳太朗さんも真郷さんも、私は小さい頃から知っているので……お許しください」 琳太朗も幼い頃から瀧川と面識はあったが、今ほど親密ではなかった。 それでも、今は親より二人を慈しむ瀧川。 20歳を過ぎたとしても、瀧川にとっては子供と変わらない。 琳太朗もそれを分かっているから、これ以上は強く言わないのだ。 「真郷は、部屋ですか?」 「えぇ。明日の講義の資料を読み返しているようです」 「分かりました、ありがとうございます。夕飯は……これから準備、ですよね?」 遠慮がちにそう聞く琳太朗に、瀧川は戸惑いながらはいと返事をする。 その後、琳太朗は意を決したように話し始めた。 「瀧川さんに、お願いがあります」

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