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第13話

翌日、真郷は目を覚ましてすぐにスマートフォンで時間を確認する。 まだ目覚ましより早いなと欠伸をすると、目の前には目をパッチリと開けた琳太朗。 「あれ……? 琳太朗、おはよう」 「おはよ、真郷」 「起きてたの?」 「さっき、目覚めて。まだ時間あるから、見てた」 ふふっと小さく笑う琳太朗。 寝起きの掠れた声でも、柔らかな響きをする。 「見てたって、恥ずかしいなぁ」 「俺だって真郷の寝顔、見てみたかったし」 鼻と鼻がぶつかりそうなくらい、近い距離。 珍しく先に起きた琳太朗は、真郷の子供っぽい寝顔を静かに見ていたのだ。 貴重だからと息を潜めつつ、こぼれる笑みが抑えられなかった。 二人でゴロゴロと目覚ましがなる時間まで寝転がっていると、真郷の耳には料理の音が届く。 「あ……瀧川さんが朝ご飯用意してくれてる」 「えっ、もう? すごいな、瀧川さん」 「遅く寝ても早起きなの、慣れたって言ってたな。朝の時間が決まってたから睡眠時間は関係ないって」 家で世話をしてくれていた時から、瀧川は朝遅れることなど一回も無かった。 寝ぼけているところを、瀧川はしゃんとした姿で起こしてくれる。 そんな彼の姿を、幼い頃から真郷は記憶していた。 「そろそろ起きるか。配膳は手伝わなきゃ」 「うん、そうだね」 二人で起き上がり、真郷は琳太朗の手を引いてリビングに向かう。 ドアを開けて挨拶をすると、瀧川は爽やかに笑みを浮かべながら優しく返してくれた。 琳太朗の鼻にも、朝食の香ばしい匂いが届く。 これからまた、新しい1日が始まる。

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