4 / 15
第4話
「はぁ、分かったよ、ここにいてもお前背中濡れるしな」
心配性なみずきにため息をつきながら提案に乗る。
「あぁ、首に掴まって」
「うん」
アキラが首に手を回したのをみて、横から抱き上げて、お姫様抱っこ状態になる。
みずきは細身だが、意外と力はある方で、華奢で女の子のような身体つきのアキラを、軽々抱き上げて…
「顔を伏せていて濡れるといけないから」
アキラの頭をそっと寄せながら…
「じゃ、走るから」
「はいはい」
アキラの返事を確認して、みずきは身体をひるがえし、突然の大雨の中走り出す。
「っ」
転倒に注意しながらしっかり抱きかかえて、自宅まで全力疾走する。
瞬足のみずき、あっという間にアキラの自宅へ到着した。
玄関前の濡れない場所まで来てアキラをそっと降ろす。
「大丈夫か?アキラ」
「ん、平気平気!あ、みずき濡れたな」
みずき染髪の濃い茶髪で少し長めのショートヘアだが直に雨に打たれて、結構濡れてしまってしんなりしている。
「アキラも少し」
短距離でも大粒の雨のため服は上下とも軽く前が濡れ、肩まで伸びるアキラの淡い栗色の髪にも雨の雫がついている。
優しく拭うみずき。
「大丈夫だって、ずぶ濡れになるよりだいぶマシだから」
「あぁ、良かった、さ、入ろう」
「ん、ただいまー、凄い雨だったー」
自宅へ戻り一安心。
ともだちにシェアしよう!