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第1章 ある男の意見1

 ああ、そうだ。俺はこいつと出会える日を待っていたんだ。  ずっと会いたかった、この世でたったひとりだけの運命のオメガに出会えたことを喜び、涙が一粒零れ落ちる。  その気持ちを例えるなら、もう絶対に見つからないと諦めていたジグソーパズルの最後のピースを見つけ、ひとつの美しい絵画を完成させたときの感動のようなものだった。  なぜ、世界で魂の番との出会いが奇跡と語られるのか、その所以を身をもって知ったのだ。  かくして俺は、チビこと|碓氷《うすい》日向と出会い、バース性がオメガからアルファへと変化した。    *  ちなみに俺は日向と出会い、アルファであることがわかって以降、両親を困らせる天邪鬼になった。  誕生日やクリスマスに「プレゼントは何がいい?」と訊かれても「いらない。何も欲しくない」と答えるようになってしまったのだ。それでも両親は、俺がアニメやテレビのCMで釘くぎづけになっていたものや、子供たちの間で|流行《はや》っているおもちゃをプレゼントしてくれた。もちろん誕生日を家族に祝ってもらえたり、クリスマスに一年間、いい子にしていたことを褒めてもらえるのは嬉しかった。何より、人からプレゼントをもらえる特別な日に胸が躍った。  だけど、すでに俺は、この世で一番欲しいものを手に入れていた。  それは両親がサンタクロースに頼み込んで、世界中のおもちゃ屋をしらみつぶしに探しても、絶対に手に入れらないもの。  世界中のアルファとオメガが、喉から手が出るほどに欲し、血眼になって探す唯一無二の存在――魂の番。  俺は、神様が俺のために与えてくれた、この世にたったひとつしかない宝物を見つけた。

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