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第6章 不本意な発情期4※
「野蛮な猿で結構です! 僕は僕だ……曽祖父と一緒にしないでください!」
「その益荒男ぶりもアルファだったら様になるが、オメガだと損だぞ。魂の番であるアルファを前にして、なぜそのように抗う? 少しはオメガらしく婀 娜 っぽい姿を見せてみろ。女のようにしなを作れば、存分にかわいがってやるぞ」
「そんなこと、絶対にしません! あなたは、僕のアルファじゃない。僕の魂の番である人間は、この世で叢雲朔夜だけです」
【朔夜】は不機嫌そうに舌打ちをすると「生意気なやつめ」と日向の陰茎を握った。先走り液を手に絡ませて上下に擦り始める。
「あっ……! やだ……はなして……っ!」
甘い快感なんてものじゃない。ビリビリと強い電流が背筋から頭を駆け巡る。日向は全身を真っ赤にさせて理性を保つために首を横に振った。
自然と腰が揺らめき、濡れた先端を【朔夜】の手に押しつける動きをしてしまう。身体が愛撫をして欲しいと浅ましくせがんだ。
日向の身体の変化を察知した【朔夜】は、日向の涙を流している部分をぐりぐりと強く押す。
「……ん! ……っ、……ふっ……ぅ……」
腹に薄くついた腹筋がピクピクと痙 攣 し、足がぶるぶる震え始める。日向は歯を食いしばって達するのを我慢していた。血が出るほど強い力で自分の手に爪を立て、【朔夜】の行為に屈すまいと気丈に振る舞っていたのだ。
身を屈めると【朔夜】は、日向の乳首を歯で嚙み、引っ張った。
その衝撃に日向は顔を歪ませる。陸にあげられた魚のように身体を跳ねさせながら、子犬が母親に甘えるような声で啼 いて達した。蕾がぽんと開き、開花するように白濁液が日向の腹部を濡らす。
【朔夜】は、歯型のついた可哀想な赤い突起を労るように舐めた。吐精し続けている日向の陰茎を甘やかすように、ゆるゆると手を動かす。そうやって陰茎の先に溜まっている残 滓 を出し切らせてやる。
宿敵に自分の身体を好き勝手される屈辱と、とろけてしまいそうなほどの吐精の余韻から日向は身体を震わせた。涙目になった日向は【朔夜】のことを睨みつけた。
【朔夜】は、そんな日向の反抗的な目つきに対して意味深な笑みを浮かべる。
「往生際の悪いやつだな。まあ、いい。時間なら、ありあまっている。おまえの身体を開き、快楽に溺れさせ、オメガらしさとを教えるのも一興だな」
乱暴な手つきで【朔夜】は、日向の着ていたシャツを引っ張ると、そのまま勢いよく引き裂いた。布切れと化したものを雪の上へ無造作に放り投げる。
すね毛が一本も生えていない女のような足に手を滑らせる。両膝の裏へと手をやり、グッと力を入れて押し上げる。胸につくほど膝を折らせれば、愛液をだらだらと流し、口を開閉させている蕾が【朔夜】の眼前に晒される。
「いやだ、離せ!」
怒りと羞恥から顔を真っ赤にして、日向は言葉での抵抗を試みる。
しかし、そんなものは【朔夜】の前では、なんのにも立たない。【朔夜】は日向の腹にたまっている精液に触れる。そして白濁液で濡らした右手の人差し指を蕾に当てる。指先に少し力を入れただけで、日向の後孔は難なく指先を飲み込んだ。
「んぅ……っ!」
結婚を控えた婚約者ではなく、かつての恋人である朔夜の指を受け入れてしまった。
いくら朔夜のことをまだ愛しているといっても、もうすぐ結婚する相手がいるのだ。婚約者を裏切ってしまったことに日向はショックを受ける。
しかし【朔夜】は、かつて自分が愛した人間とうりふたつである日向を、自分のものとして手に入れることしか頭にない。朔夜のように日向のことを思って手を止めえるようなことは、いっさいしない。どこまでも目の前にいる日向の心を、意思を無視する。
「なぜです? あなたの目的は……僕から、さくちゃんとあの人の……記憶を消すことでは……なかったのですか!?」
つかえつかえしゃべる日向に対して、「そうだ」と【朔夜】は答えながら、指を引き抜く。中指を添え、二本の指を蕾に押し入れる。じょじょに奥のほうへと指を進ませながら日向の泣きどころを探る。
「だが、この世界では、現実の世界と時間の流れが異なる。おまえをここでゆっくり抱いてから、おまえの記憶を操作しても、別段支障はない」
「そんな……あ、ん……んぅっ!?」
ワントーン高い声をあげて、日向はぎゅっと目をつぶり、腰を跳ねさせた。
「ああ、ここか。おまえのいいところは」
【朔夜】は日向の腸内で、ほかのところよりもわずかに膨らみ、弾力のある場所を見つけた。前立腺を指の腹で転がしたり、叩いたり、振動を与えたり、撫でさすったりした。
馬鹿のひとつ覚えのように「やだ、やめて」と日向は拒絶の言葉を口にする。
だが【朔夜】は笑みを深めるだけで一向にやめようとはしない。
静かに雪が降りつづける世界に、じゅぷじゅぷと愛液をかき混ぜる不釣り合いな水音が響く。次第に、日向の陰茎はふたたびそそり立ち、先走り液を流した。
そんな日向の反応に気をよくした【朔夜】は、日向の首筋や鎖骨の皮膚を強く唇で吸い上げ、嚙み跡をつけていく。自分の物 だという所有痕を残していく。指を三本に増やし、性行為を連想させるような動きをすれば、日向の口から甘い喘ぎ声が自然と漏れる。
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