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第6章 不本意な発情期5※
「おいおい、いくら発情状態だからって、やわらかくなるのがずいぶんと早いな。ここへ来る前に、あの男とヤッたのか? お盛んだな」
「黙れ! ……これは、不可抗力です。あの人は関係ありません」
【朔夜】は右手での愛撫を続けながら、左手を日向の勃起しているものへとやり、ふたたび擦り始める。
「やあっ!? あ、あっ……んんっ!」
暴力的な快楽に日向はあられもない声をあげ、生理的な涙をこぼす。【朔夜】に触れられた陰茎は、先走り液が精液のように飛び散り、日向自身の腹や胸を汚していった。
愛する男 の皮を被った男に辱められる異常な状況。現実逃避を望む脳がエラーを起こす。
まるで朔夜に求められているような錯覚を覚え、日向は正常な判断を下せなくなり、どんどんおかしくなっていく。
「……まあ、いい。これなら、すぐに挿入れられる。余計な手間が省けて助かるよ」
興奮した声で【朔夜】は日向の耳元で囁き、耳殻に歯を立てる。
指を引き抜かれて「んあっ!」と日向は声をあげる。
カチャカチャとベルトを外す音とスラックスのチャックを下げる音がして、日向は目をむく。
「待って……それだけは……!」
「何をいやがる? この身体は、おまえを犯した【俺】の身体とは違う。おまえが愛した朔夜そのものだ。なんの問題がある?」
ピタリと蕾に熱くて固いものが触れる。朔夜の勃起しきったたペニスがあてがわれているのだ。日向の顔色が真っ青になっていく。
「おまえだとて本心では望んでいたんじゃないか? もう一度朔夜に抱かれたい、愛されたい――と。一晩中愛の言葉を囁かれ、やさしい愛撫で甘やかされ、大切にされたかった。そうだろ? 日向」
【亡霊】は朔夜の顔で、朔夜と同じ笑い方を意図的にした。
日向は、目の前が真っ暗になっていくのを感じ、全身をわななかせた。
そうして【朔夜】は狙いを定め、オメガとして準備が整った日向の胎内へ、滾 った肉棒を侵入させようと試みる。
……違う。……僕はこんなこと、望んでない。……いやだ。……いやだ!
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