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第11章 無力2
「なっ!? さあちゃん、横暴だぞ! ひなちゃんが嫌がっているじゃないか!?」
顔を真っ赤にしてかっかと怒った鍛冶が立ち上がって、日向を助けに向かおうとするが「まあまあ、まあまあ」と衛と角次に両腕を摑まれ、アメリカの宇宙人のように拘束されてしまう。
「な、何するんだよ!?」と大声で喚くが、好喜に口を塞がれてしまう。フガフガ言って鍛冶は不満を募る。
「大丈夫だって、火山。ここは黙ってみようぜ!」
疾風は口をへの字にして肩を竦めた。
「べつに碓氷はオレの猫じゃないし、急ぎの用もないから連れていきなよ」
「は、疾風くん! なんで……」と日向が叫ぶと疾風は「たださ、」と本のページを繰る。
「あんまり強引なのもどうかと思うぞ? 碓氷にひどいことするわけじゃないんだよな?」
「当たり前だろ。んなことしねえよ」
朔夜が言い切れば、「そっ、じゃあ、いいんじゃない」と疾風は興味がなさそうな返事をして、手元の本へと目を落とした。
「疾風くん! 友達を売るつもりなの!?」
「あのさあ碓氷、友達だから言うけど、いい加減腹決めろよ。何があったか知らないけど、このままずっと叢雲を無視し続けるつもりか?」
「だから、そんなのじゃなくて……」
「そんなのおまえだって、きついだろ。さっさと仲直りしてこいよ」
日向は疾風の言葉を耳にして、開いた口が塞がらなくなってしまう。そんな日向の手を引いて朔夜は日向のまえを歩く。
「ちょっと、さくちゃん! どこに行くの?」
「いいから来いよ」
そうして朔夜は体育館に日向を連れ、薄暗い体育館倉庫の中へと入る。壁の電気スイッチを着けるために、日向の手首を摑んでいた手を離す。
蛍光灯のあかりが着く。
日向は唇の端を上げ、朔夜の背中をじっと見た。
「……それで、話ってなんなの?」
いら立ちを隠しもせずに日向はため息をつく。
朔夜は日向に近寄ると日向の学ランのフックを外し、そのまま第一ボタンに手をかけようとする。
「な、何……? 何をするの?」
困惑した表情で日向は朔夜の手を摑んだ。
朔夜は日向の目を見据え、凄みをきかせた声を出す。
「――脱げよ。今すぐ全部、服を脱げ」
そう言って朔夜は日向の手をどけると手早く学ランのボタンを外してしまう。
「ちょっと……何をするの!?」
「うるせえ、黙ってろよ」
有無を言わさずに朔夜は日向の学ランを脱がし、紺色のセーターの下に着ているワイシャツに手をかける。
「さくちゃん、どうしたの!? やだよ……!」
日向は抵抗し、朔夜の腕から逃れようとするが、朔夜は日向の手首を一纏めにしてしまう。
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