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第20章 白昼夢5*
『どうしたの、光輝。何か用?』
三コール目に希美が出た。
「あ、希美ちゃん? 朔夜のほうは、どう?」
『ぜんぜんよ、取りつく島もないわね。碓氷くんを始終気にして誘いに乗ってくれないから、つまらないわ。振られてばかりで傷ついちゃう』
「碓氷日向――あのオメガせいで、みんなが不幸な目にあう。あの疫病神がいる限り、ぼくらは幸せになれないんだ」
クスクスと楽しそうに希美は笑った。
『同意見だわ、光輝。あなたも今日は散々な目にあったみたいね。大丈夫?』
「ありがとう、大丈夫だよ。あいつ、妹の空まで|誑《たぶら》かす、ろくでなしだ。でも……」
『でも?』
「今日、日向から殴られてむしろ、よかったって思ってる。ようやく決心がついたよ。あいつには、この町から消えてもらう」
『すばらしいわ、光輝。私たちの意見に賛同してくれて、ありがとう』と希美は携帯を耳と肩で挟んだまま、鍵のかかったアルバムの鍵を開け、ページを開く。
そこには全裸にされた少年・少女の写真がびっしりと貼られていた。
皆、顔や体を殴られたときのあざや、脅しのために使われたナイフで刺された傷がある。
顔や口元、胸部や腹部には精液が付着し、ひどく傷ついた膣や肛門からは血と大量の精液が出ている。
かわいらしいリボンのシールには彼らの名前と住所、電話番号が希美の字で記入されていた。
後ろにいくほど最近の日付けになる。左側のページには、お風呂上がりでタオルを纏った美しい少女を盗撮した写真と、寝ている最中に服を脱がせ下着姿にした写真が貼られていた。ピンクのリボン型のシールに「|虹《にじ》|橋《はし》|菖蒲《あやめ》」という名前が書かれている。
右ページには、まだ何もない。
希美は青いリボン型のシールに「碓氷日向」と黒いマーカーで名前を書き、シールを貼った。
「碓氷くんは、女の子、それも芸能人と見まがうほどの美人よ。兄さんも、あのきれいなお人形さんを新しいおもちゃとして手に入れたら、すごく喜ぶと思うわ」
悪魔のような顔をして彼女は口元に笑みを浮かべたのだ。
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