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第21章 じれったいふたりの距離6

「そんなことには、ぜってぇならねえよ」 「でも……」と日向は表情を曇らせる。  先の読めない将来を不安がる日向を安心させるように、朔夜は日向と額を合わせる。 「おまえが、どんなに悪いやつだったとしても、俺は、おまえを嫌いになったりできねえよ。もし俺とおまえが離れるときが来るとしたら、それはどちらか一方が死ぬときだ。それか、どうしようもない理由で『離れる』以外の選択肢がなかったときだな。  なあ……日向、今すぐに答えをくれなんて急かすようなことは言わねえ。おまえが『待て』って言うなら一年でも、二年でも、十年だって待てる。だから、ちゃんと考えてくれねえか。俺の告白に応えられるか、応えられねえかを」  そう言って、瞳を細めて笑う朔夜の表情を目にした日向の心臓は、うるさいくらいに騒いだ。 「さくちゃん」 「ん、なんだ?」  やさしさを感じさせる甘い声で朔夜が返事をした。  それだけで日向の頬や耳は熱を持ち、熱くなる。  目の前には灰色の大きな瞳がある。普段からツリ目で、怒ると目を三角にする朔夜がまなじりを下げ、微笑んだ。まるで愛しいものをみるような目つきで見つめられた日向は、朔夜から目が離せなくなっていた。 「あのね、僕、僕は――」  ガラッと家庭科室の扉が音を立てて開かれる。 「朔夜くーん、見ーつけたー!」

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