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第49話(あさひ)
ふーちゃんの身体がきゅっと縮こまると同時に、中も搾り取るような動きをする。
されるがまま、耐え切れずにゴムに出してしまう。
それが伝わったのか、締められたような声がふーちゃんから聞こえてきた。
強張ったまま、小さく痙攣している身体。
徐々に収まってはいるけれど、中の締め付けがキツい。
声もあげなくなったことに不安を覚えて、そっと身体を離す。
ふーちゃんの身体は、変に力が入ったまま。
はくはくと口を動かしているけれど、浅く息を吸う音が微かに聞こえるだけだった。
「ふーちゃん? 息、吸える……?」
目隠しを外しながらそう問いかけると、ぼろぼろと涙をこぼす両目が出てきた。
ゆらゆら揺れて、戸惑いが見える瞳。
助けを乞うようなそれが胸をざわつかせて、そっと身体を包んだ。
背中をさすりながら、ただ「大丈夫だよ」と声をかけてる事しか出来なかった。
次第にちゃんと吐き出せるようになって、吸う息も深くなってきた。
「……あ……さん」
「もう大丈夫?」
「ごめ、なさ……きもち、よか、たから」
*
初めての事で、許容量を超えたせいだとふーちゃんは言った。
決して怖いとか嫌だとか、否定的な気持ちは無いと必死に言われてしまう。
「気持ちいいって思ったら、勝手に身体が動いて……頭が追いつかなくなっちゃったんです」
「はー……死んじゃうかと思った」
不安をぶつけるように、ぎゅーっと抱きしめる手に力を込める。
頭上から聞こえる笑い声が、控えめで可愛い。
「僕も、幸せで死ぬかと思いました」
「もう! でも、よかった……嫌な思いさせた訳じゃなくて」
俺がそう言えば、ふーちゃんが俺の頭をふわふわと撫でてくれる。
「あさひさん……続き、しないんですか?」
可愛らしい声と優しい仕草で、そう言われた。
一旦スイッチが入れば、意外にも貪欲に求められる。
「俺出しちゃったから、変えなきゃいけないんだけど」
「ふふっ、ダメじゃ無いんですね」
んっ、と声を漏らしながらふーちゃんは腰を上げて抜いていく。
一度はお互い萎えてしまったけれど、雰囲気さえ戻ればまた出来る。
どちらからか分からないキスを交わしながら、俺は片手でゴムの箱を引き寄せた。
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