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第71話(あさひ)
傷心しながらも、期待する瞳のふーちゃん。
お互いに身を綺麗にした後、ふーちゃんを抱き上げて風呂から出た。
それからベッドに下ろすと、言う前にKneelの姿勢をとる。
そして、バスタオルを肩に羽織ったまま、不安そうに俺を見上げている。
「……ふーちゃん、本当にいいんだね?」
「はい。お願いします……して、ください」
水気の残る髪を手で避けて、ふーちゃんの額にキスを落とす。
ふーちゃんの黒い澄んだ瞳を見つめたまま、俺はそっと口を開いた。
「文弥、Present 」
俺がそう言うとふーちゃんは瞬きをする。
聞き慣れないコマンドだったのか、「ぷれぜんと」と声は出ていないが微かに口が動いた。
しかし、少し間をおいてからかぁっと顔を赤らめた様子を見ると、どうやらちゃんと知っていたようだ。
羽織っていたバスタオルを外し、Kneelの姿勢から少しずつ足を広げていく。
手を後ろに着いて少し上体を反らして……なんて可愛いんだろう。
控えめに興奮を知らせるふーちゃんのソレが、しっかり見える姿勢。
思わずゴクリと喉が鳴る。
ふーちゃんは耳まで赤く染めて、目を固く閉じながら顔を背けていた。
「うん、いいよ。そのまま顔も見せられたら、もっと褒めてあげる」
その言葉にふーちゃんはぱちりと目を開け、視線を泳がせる。
唇を噛みながら、ゆっくりと顔がこちらを向き始めた。
全身から恥ずかしさを溢れさせながら、それでも健気に言う事を聞いてくれるふーちゃん。
なんて素直で、可愛いんだろう。
「Good boy 。最高だよ、文弥」
頭を撫でて、今度は頬にキスをする。
ふーちゃんはそのまま後ろに体を倒し、瞳を蕩けさせた。
「ん……」と漏れる吐息と、時折揺れる腰がこの先を期待しているように見える。
それなら、と俺もベッドに乗ろうとした時、ふーちゃんが眉間に皺を寄せて身体を捩った。
「ごめんなさい。背中が擦れて……痛くて」
「あ、これか……そうだね。気付けなくてごめん」
ふーちゃんの背中のミミズ腫れが直にシーツに触れて痛んだらしい。
力の抜けたふーちゃんの身体を起こし、視線を合わせる。
「じゃあ、今日は四つ這いになってもらおうかな」
『一応お仕置きだし』と心の中で付け足す。
ふーちゃんは少し躊躇ってから、おずおずと話し始めた。
「……正直、不安なんですけど……でも、あさひさんのこと、信じてます。だから、応えたい」
「分かった。大丈夫、セーフワードは?」
「っ、『置いていかないで』」
「よし。言ったら止める、絶対守るから」
こく、と頷いてふーちゃんは俺にお尻を向けて四つ這いになる。
ちらりと視線を向けるのがまた恥じらいがあって扇情的だ。
「文弥、触るよ」
つ、と向けられた双丘に指を滑らせると、息を詰めた音が聞こえた。
同時に身体もぴくりと揺れる。
本当、俺の一挙一動に可愛く反応してくれるのだから、愛おしくて堪らない。
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