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第10話

翌日の夜、東城は自宅の最寄り駅の近くまで車を出した。 駅前の道路に宮田と佳代ちゃんが立っている。佳代ちゃんが手を振って合図をしてきた。宮田は軽く会釈してくる。 東城は二人に広瀬の手がかりが見つかったことを知らせた、会うことにしたのだ。 自宅につくと、佳代ちゃんは「お邪魔します」と玄関で小さな声で言いながらあがってきた。 彼女は南宿署に勤めている広瀬の同期だ。美人でやり手、警視庁内でも有名人だ。今日は大人しい細身のワンピースを着ている。 宮田はもっと遠慮なくずかずかとあがってくる。挨拶もそこそこに東城の顔を観察するような視線をおくってきながら質問してくる。 「今の経産省の職場、どうです?」 「そこそこ忙しい」と東城は答えた。 東城は怪我からの復帰後、警察庁の橋詰のはからいで、経産省で勤務しているのだ。広瀬の暴走とその際に東城が銃で撃たれたことは、警視庁内でかなり問題視されている。 広瀬の事件は彼の両親の殺人事件、裏金や組織内の醜聞がからみついていることから、詳細は公表されず、内々に処理されつつある。 だが、東城は入院中に、様々な立場の人間からしつこく事情を聞かれた。 東城が頑なに広瀬をかばったこともその尋問に拍車をかけていた。警視庁にそのまま残ればほとんど犯罪者扱いにもなりかねなかった。 このため、広瀬の後見人的な役割を担っていたオジサンたちの一人、警察庁幹部の橋詰が、事件のほとぼりがさめるまで東城はしばらく警視庁にいない方がいいと判断したのだ。 橋詰は彼の権限で、まず、東城を警視庁の福岡チームから警察庁の橋詰の部署付きに出向させ、そこからさらに経産省に出向させた。

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