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第11話
今、東城は、経産省では企業の情報漏洩防止対策の支援業務に関わっている。
いつ警視庁に戻るのか、そもそも戻れるのかもわからない。
宮田には、「会議ばっかりだ。地方出張とか、書類仕事とか。お役所仕事だ」と答えた。
「いずこも同じですね。でも、よかった。前より元気になりましたね」と宮田が言った。
「なんだよ、それ」
「いや、前は落ち込みが激しかったから。そりゃそうですよね」と宮田が言った。「正直、あのまま、広瀬のことなんてどうでもよくなるのかと思ってましたよ。東城さんはもともと飽きっぽい人だったし」
「お前なあ。こういう時に言うことかよ。まあ、いつまでもメソメソしてても仕方ないからな」と宮田に答えた。
ソファーに座ると佳代ちゃんが聞いてきた。「なにが、分かったんですか?」大きな目は真剣だ。
東城は封筒から写真と手紙を取り出して渡した。
彼女は唇をぎゅっと横に引き結んで、丁寧に写真を見て、宮田にもそれを見せた。
「広瀬ですね。この写真はどこから?」と宮田が聞いてくる。
「友人がくれた」
「東城さんのお友達ですか?誰ですか?」
「それは言えない。信用が置ける人間だ」
宮田は不審そうな顔をしている。だが、写真の出元についてはそれ以上聞かなかった。
佳代ちゃんは英語の手紙を読み始めている。
「広瀬くん、デンバーにいるんですか?」と彼女は東城に聞いてきた。
「そうみたいだ」
「デンバー」宮田うなずいた後で聞いてくる。「って、どこですか?聞いたことはあるんですけど」
「アメリカのコロラド州にある」と東城が答える。
「コロラド州ですか。コロラド。なんだってそんなとこに」
「菊池の会社がそこにある」
広瀬を連れ去り、自分の勤めていた研究所の研究成果を持ち出した男だ。
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