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第20話
駐車場で待っていた宮田は、遠くから救急車のサイレンが近づいてくるのを聞いた。それから、パトカーのサイレンが同じように聞こえる。
車の運転席から首を伸ばしてみると、救急車もパトカーもホテルに入って行くのがわかった。
なにかあったのだろうか。
背中に冷たい汗が伝う。
嫌な予感がして宮田はスマホをみた。
東城からの連絡は何もない。
さらにパトカーが数台入ってくる。赤いランプが騒々しく光り、物見高いやじうまが集まりだしている。
何かが起こったのだ。だが、東城と関係のないことかもしれない。そうであって欲しいと願った。だが、自分の嫌な予感はだいたいその通りになるのだ。
車を降りてホテルに行くかどうか決めかねていると、助手席側の窓がコツコツと叩かれた。
元村融が立っている。眉間にしわを寄せ、厳しい表情だ。
一緒にいるはずの東城の姿はない。連れて出るはずの広瀬も当然いなかった。
宮田は鍵をあけたが、彼はドアを開けて入っては来なかった。
窓をおろすと、元村はホテルの部屋で男が殴られて倒れていたことと、東城が救急車を呼んだことを宮田に告げた。
ふてくされたような表情で、「不法侵入して救急車呼ぶなんて馬鹿すぎる。頭おかしいんじゃないか」と言った。「付き合いきれないから俺は帰る。お前もずらかったほうがいいぞ」
そう言い捨てると元村融は車から離れて行った。
宮田は、しばらくじっとしていた。なにが起こっているんだろうか。これからどうしようか。
ここで東城を待つか。だが、待っても進展はないのもわかっている。
元村がいなくなり、ホテル前でパトカーが赤いランプを光らせているのを見ると、意を決した。
車を降りるとホテルに走った。
人が殴られて倒れているのに、見なかったことにして去っていくことなど東城ができるわけがない。
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