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第21話

ホテルは、外見からして高級感にあふれている。ロビーに入ると高い天井で空間が広い。 外は物々しい雰囲気で野次馬がいたのだが、ホテル内は意外と静かだった。 何事かがおこっているのはわかるので、様子を知ろうとする客たちはいるが、ホテルのスタッフが丁寧に説明やお詫びをし、騒ぎが広がらないように対処している。 しばらくして、外に停まっていた救急車がサイレンをあげながら出発した。 怪我人は、ホテルのどこからか外に搬送し、人目につかないように乗せたのだろう。 パトカーも一台後を追っているが、残り駐車したままだ。 宮田は、ホテルのロビーの隅にある椅子に、エレベーターや周囲を見ながら座った。 制服の警官が数人忙しそうに動き回っている。 しばらくして、エレベーターから東城が降りてきたのが見えた。 制服の警官が横について歩いている。 全員厳しい表情だ。まずい状況にあるのだろう。 東城は宮田がロビーにいるのに気づいたようだった。 だが、何の反応も見せず、歩いて行った。 宮田はゆっくり立ち上がり、さりげなく後を追った。 ロビーから外を伺っていると、パトカーの一台に東城は乗せられて行ってしまった。 血の気が引いていく。気持ちが悪くなってきた。最悪の事態になってしまった。

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