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第22話

東城は所轄の一室に入れられて話を聞かれた。ほぼ取り調べのようなだった。 当たり前だ。 ホテルで男が倒れていて、全く関係のない、ホテルの宿泊客でもない東城が第一発見者なのだから。 そもそも、エレベーターはルームキーがないと指定のフロアには停まらないのだ。 フロアにどうやって行ったのか、部屋にはどうやって入ったのか。そして、殴られた男は何者で、なぜ殴られたのか。東城とどのような関係なのか、確認しなければならないのだろう。 東城は、自分は警視庁から経産省に出向中であることは話した。 話ながらどんな言い訳をしようか、と考えていた。嘘はできるだけつかない方がいい。 倒れていた男が誰なのかは知らない。知りたいと思うが、藪蛇になるので質問もしなかった。 警視庁の身内であると聞いて所轄も対応にやや困っているようだった。 東城の話を聞いてから、担当者が出たり入ったりして、ごそごそと内部で話をしている。 どれくらいの時間がたっただろうか。 数時間はいたようだ。 話を聞かれる時間よりも、待たされている時間の方が長かった。 背中の向こうのドアが開く音がした。 振り返って見ると、竜崎が入ってきたのには驚いた。 彼は、東城を見るとうなずき、所轄の担当者に小さい声で何かを告げた。 担当者は渋い顔をしていた。やがて、東城を解放した。

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