23 / 159
第23話
外は、うっすらと明るくなり始めていた。
所轄にいる間にすっかり朝になっていたのだ。
竜崎は駐車場に停めた自分の車に東城を案内してくれた。
駐車場を出ると、車を運転しながら竜崎は静かな声で「大井戸署の宮田から連絡をもらったんだ」と説明してくれた。
「東城が所轄に捕まってまずいことになってるというから、事情を聞いた」
運転する竜崎は、東城がよく知っている冷静な横顔だった。
深夜に突然の電話でたたき起こされたのではないだろうか。
とてもそうとは思えない様子で、きちんとスーツを着、白いシャツにネクタイを正しく結んでいる。
竜崎に会うのは久しぶりだった。
東城が広瀬に撃たれ、生死の境にいた時には何度も来ていたらしい。
だが、経産省に出向になった後は連絡を取っていなかったのだ。忙しいのもあったし、東城はしそびれていて、竜崎からも連絡はなかった。
東城の意識がない時に、竜崎は東城の負傷は自分の責任だと母親に謝っていたらしい。
一緒にいたのに、止めることができなかった。なにもすることができなかった、と。
竜崎さん何度も何度も謝罪していたと、母親は話していた。あの人の責任じゃないのに、そう思いたがってるみたいだったとも。
意識が戻った後、顔を見に来た竜崎が怪我人の東城よりも青ざめていたのを覚えている。
ともだちにシェアしよう!