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第33話
そう思いながら、また、歩き、地下鉄を表すマークを見つけた。
終電ギリギリくらいの時間のため、多くの人が足早に階段を降りていく。
広瀬も階段を降り、チケット売り場に来た。
ポケットから現金をとりだす。
光森の金だ。倒れた身体から躊躇なく抜いた財布に入っていた。
コインを自販機に入れようとして、ふいに手が震えてきた。
悪いことをした、と、手はわかっているんだ。
罪悪感がない、なんてことはない。
怖いし、申し訳ないし、どうしたらいいのかわからない気持ちでいっぱいすぎて、それでも、逃げて、東城に会いたいと思っている。
手が震えて、よかった、と広瀬は思った。
自分は罪悪感がない化け物なんじゃない。感情はちゃんとある。
目的を達せたら、つぐないもしよう。
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