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第39話

そう思っていた時に、また、着信が入った。画面が点滅している。 登録していない、知らない番号だった。 数回鳴って、留守番電話に変わった。画面を見ていたが留守電が残されることはなかった。 昨日の夜から今朝にかけての着信履歴を確認した。登録のない電話番号は4件。そのうち一つは今の上司からのものだとわかっている。 今かかってきた番号は、昨日の夜から何度もかけてきている。この番号の着信が一番多いことに気づいた。よほど連絡をとりたいのか。緊急ならなぜ留守電を残さないのだろう。 東城は番号を選択し、発信してみた。 すぐに通話になるが、相手の応答の声がない。 「もしもし?どなたですか?何回かかけてもらったみたいですけど」 まだ、返事がない。 雑音が聞こえる。外から電話をしているようだ。こちらの声が聞こえないのだろうか。 東城は再度「もしもし」と言ってみた。 かすかに、相手が息をする音が耳に入ってきた。 東城は、スマホを握りしめた。 まさか、と思いながら。そうであってほしい、と思いながら。 「広瀬?」と東城は相手に呼びかけた。「広瀬なのか?」

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