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第45話

車を降りてからここまで、東城は、広瀬の腕をつかんだままだ。 彼が、広瀬の顔を見つめてくる。 その目は不思議な色を帯びていた。怒りや哀しみといった単純な感情はなにも見えない。広瀬は今までもいつもわかったことがなかった。 その目をみていると、彼の身体が動いた。彼は少しかがんできた。ほんの一瞬だけ躊躇った後に、広瀬の唇に自分のを合わせてきた。 慣れたしぐさのはずだ。いつもこうしていたのだ。広瀬が少し背伸びをし、彼がかがむとちょうどいい高さになる。 最初は柔らかく感触を確かめあっていた。口の中でお互いを感じていく。舌が合わさり、内側をこすられていくと気持ちがいい。 だが、途中から東城が乱暴になった。口の中を荒っぽく下が動き、さらに、体重をかけられ背中がしなる。 「う」 声をあげたが彼はやめなかった。広瀬はそのまま床に押し倒された。背中が床に当たり痛い。 東城は広瀬の痛みなんておかまいなしで、上からのしかかってきた。口の中を舌で蹂躙し、シャツの中に手を入れ、身体に触れてくる。 わき腹を撫で上げられ、身体が反射的に跳ねた。 その反応も抑え込み、東城は口を広瀬の口から、下唇、頤、喉に移した。喉を噛まれる。 「あっ」と上げるつもりのなかった声がでた。 東城はその声に顔をあげた。汗が額ににじんでいる。 その目が色を変えていた。鋭く獰猛な捕食者の視線だ。奥底にはやっぱり憤怒があるのだろうか。 このまま乱暴に犯されるのか。東城の好きにすればいい。まだ、広瀬のことを欲しいと思ってくれるなら。痛みも、屈辱もなんでもいい。

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