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第48話
東城が連れてきた家は、平屋建ての大きな家だった。
複数のベッドルームがあり、リビング、キッチンがある。どこもホテルのようにきちんと片づけられている。
広瀬は、浴室を使い、東城が用意してくれた新品の来客用の部屋着を着て、家の中を歩き回っていた。
東城は広瀬と入れ替わりで浴室に入っている。
あちらこちらを歩いているうちに家にはほとんど窓がないことに気づいた。
壁は無地で絵もかかっていない。
そして、ところどころに小さな監視カメラがついている。出入り口だけでなく、家の中にもある。かなり厳重なセキュリティをしいているようだ。
神経質な空気が全体に漂っている。
このカメラは稼働しているのだろうか。どこで画像を保存時、誰が見ているのだろうか。探したがすぐにはサーバーのようなものは見つからなかった。見つかりにくいところに隠しているるのだろう。
歩いていて、裏口を見つけた。
ドアに手をかけたが、すぐには開かなかった。
鍵のつまみを見つけひねってみたが、びくとも動かなかった。鍵を開けるためのボタンでもあるのかと思って周囲を見回すが、ない。
確認しようとこの家に入ってきたときの駐車場への出入り口まで行ってみた。そこのドアも開かない。
しばらく歩いて見つけた大きな玄関の鍵も開かなかった。まるで、閉じ込められてしまったようだ。
ふとこの家の周囲を囲うぶ厚い壁を思い出した。安全だが重苦しい。
だが、ここは東城の親戚の家だ。東城の親戚は、広瀬の知る限りでは個性的な人もいるにはいるが、神経質な人はいなかった。それに、東城が変な家に広瀬を連れてくるはずもない。
この重圧やピリピリとした感じは自分の気のせいだろう。
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