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第63話

「あらゆる記憶をコントロールできるのか」 「俺は子どもの頃に実験に参加したから、記憶のデバイスになじみやすいって菊池に言われました。脳の中の回路が出来上がっているらしいです。大人になってつけると、慣れるのに時間かかるし、十分にコントロールできない人もいる説明されました。デバイスをこれからバージョンアップして改良していくそうです」 「ある意味、超人になれるデバイスだな」 「そうです。でも、副作用があります。菊池たちは言いたがりませんけど」 万能感や規範意識の低下。危険察知力の低下。自殺願望が、副作用だと思われている。他にもあるかもしれない。だが、こういった課題がデバイスの副作用だとは、はっきりとは証明されていないのだ。 「量産品になるのに、副作用は解決していないのか?」 「俺が子供の頃の実験の時よりは緩和はされていると思います。でも、本質的には同じです」 「危険な製品だとわかっていて売ろうとしているってことか」 広瀬はうなずいた。「副作用なんて、誰が、どのように使うかによるって菊池は言っていました」

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