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第82話

広瀬が差し出すクレジットカードを東城は指でつまみ上げ、カードに記載している名前をにらむように見た。 「こんな証拠がばっちりあるなんてな。ブランド物のシャツとこのクレジットカードがそろってる。うちにガサ入れされたら、一発でアウトだな」 「処分しますか?」 捨ててももう取り返しはつかないけれど、一応言ってみた。 それにしてもどう対策したらいいのだろうか。東城は怒っているのだろう。 それはそうだ。クレジットカードを盗んで食事をしたなんて、犯罪者以外なんでもない。 ところが予想に反して東城は静かに首を横に振った。 「これは、持っておこう。何かの役に立つかもしれないし、そうでなくても、光森のモノを勝手に処分するというのも、気が引けるからな」

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