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第84話
ショッピングモールで買った夕食をそろえて、静かに食事をした。
広瀬との会話くらいしか音のない部屋に、突然、電話の音がした。
緊張が二人の身体に走る。
東城は、食卓から顔をあげ、鳴っている電話をみて、一瞬迷っていたが、意を決してとった。
それは、光森の殴打事件の管轄をしている事件の担当者からの電話だった。
相手は挨拶もそこそこに東城に告げた。
「明日、早々にこちらに来てもらいたい」
東城は、返事をためらった。
考えた後で、「本庁の竜崎警部補が、光森の件は自分を通せとおっしゃっていましたが」と告げた。
相手は、その返事は十分予期していたのだろう。噛みつくように言われた。
「竜崎にはこの後、連絡をする。彼も、明日、こちらに来るよう要請する」
「そうですか」だとして、どうだろう。同意して、行くべきだろうか。判断に迷うところだ。
担当者は機嫌の悪い声で説明した。
「光森が意識を取り戻した。病院の診断では、意識がなかったのは脳震盪と疲労に過度の飲酒が重なったものだろうということだ。頭にたんこぶはできているが、検査結果が全部出たら、明日夕方か明後日の午前には退院できるらしい」
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