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第85話

「それは、よかったですね」とこの感想が適当なのか、この場合、と思いながら東城が答えた。 「よかった、だけなのか」と担当者は責めるように言う。「本庁の連中がなにを企んでいるのか知らないが、こっちは、傷害事件の対応しなきゃならないんだ。ホテル内で宿泊客が殴打されたんだからな」 全く八つ当たりもいいところだ、と東城は思う。 だが、明日、自分が行かなければならない理由はなんだろうか。 その説明はすぐにされた。 「光森は、意識が戻ったが、殴られた時の状況について我々に話をしない。それだけじゃなく、お前なら話をすると言っているんだ」と苛立った声が告げてくる。「光森を救ったのはお前だからな。お前のことなら信用すると言っている。どんなこと吹き込まれたか知らないが、光森はやけに我々を警戒している。明日、こちらの署の来て、ここから病院に同行してもらいたい。光森から証言を引き出し、犯人についての詳細を把握したい」 断ることは無理そうな話だった。東城は、同意し、電話を切った。

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