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第90話

寝室には、今日買った大きな花束の一つをガラスの花瓶に生けてある。 部屋の中は、ほのかな花の香が広がっていた。 東城が、広瀬を下にして覆いかぶさり、唇に何度もキスをしてくる。 髪を後ろになでられて、出てきた額にもキスをされた。 彼の硬い筋肉の胸や腹を重さで感じる。 広瀬は気持ちがよくなり目を閉じた。自分も手を伸ばして東城の肩に触った。こうして抱き合えると、安心する。 自分と東城がもう一度こんなふうにお互いを確かめあることができるなんて、思いもしなかった。 ほんの少し前まではただ会いたいと思っていただけなのに、会うと、欲しくてたまらなくなる。東城が広瀬の不足を満たしてくれる。 当たり前のように身体は動き、どれほど慣れ親しんでいたのか、改めて知るのだ。

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